“地球の明日と生きる"をテーマに、総合エンジニアリング、太陽光表示パネル、高機能住宅、クリーンウォーターシステムなどを幅広く手掛けるのが東海ECだ。同社が中心となって立ち上げた異業種企業の連合体「アースパートナー協議会」で、太陽光発電システム、LED照明など環境保全、省エネに役立つ事業も推進している。石井元博社長に今後の事業展開などについて伺った。
【直近の経営環境】
今年3月に発生した大震災の影響により、当初部材の供給や現地の設備工事などが滞る事態となったが、現在はその影響はほぼなくなったと考えられる。
一方、リーマンショックから3年が経過することになるが、感覚的には一番落ち込んだ時点から比較すれば間違いなく回復傾向にはあるとはいえ、秋口以降は再び不透明感がある。
また、これまでなら考える必要などなかった電力供給の問題などが、目の前に大きくクローズアップされている。電気は人類が生きていく上で大切なインフラであることを改めて考えさせられる機会となった。健康なときには健康の有り難さが判らないのと同じように、電気がいかにわれわれの生活や産業にとって大切なものなのかを、今は痛切に感じている。
市場は、海外向けの案件が過半数を占めている。われわれ中小企業でもここ数年、海外に拠点を開設したり、現地法人を立ち上げたりする企業が増えている。海外の市場は当然のことながら意識しなければならない。
我々の業界でも10年程前から現地生産、グローバル調達という言葉が聞かれてきた。日本に残るもの、日本から出ていくものを、見極めなければならないし、日本に残るならより付加価値の高い事業を行っていかなければ国際競争に打ち勝つことは出来ない。
【今後の経営方針】
この世紀は、間違いなく環境・省(創)エネルギーの問題を避けて通ることは出来ない。エネルギー消費量をコントロールすることで、結果的に二酸化炭素排出量やコストを削減すること、EVなど新しい社会インフラに対応するための基盤整備などの領域で市場や顧客に貢献することも出来る会社に将来はしていきたい。そして、その時改めてわれわれが制御~施工の一貫サービスが出来るということが強みとなり、更に開発的要素や保守という領域も取り込むことで、強みに更に磨きをかけることが出来ると考える。
電気に関する事業領域には、まだまだ大きな可能性があることが感じられるし、同時にやらなければならないことも多くある。電気を使って我々の生活する場や仕事をする場に、安心・安全・快適を実現することが我々の使命である。これは我々にとって大きな成長発展のチャンスとなるはずだ。
それと同時に、従来から事業として取り組んできた機械制御、電気設備工事の領域で確実に社会に貢献できるようにしていかなければならない。次のステップに行く前に、足元がしっかりしていなければ、なかなか次へ進めるものではない。むしろ、この1年は足場固めをしっかり行わなければならない。
【他社との連携】
当社が設立に関わった異業種企業の連合体である「アースパートナー協議会」が今年4月に法人格を取得した。地球の明日を環境的な面から如何に保全していくか、そのためにわれわれに何が出来るのか、という側面から立ち上がった団体である。今では会員企業が30社を超えた。9月には被災地である宮城県石巻市に仮設用の太陽電池付き照明器具を寄贈するなど、徐々に活動の幅を広げている。今後はそれぞれ特徴を持った企業同士が連携し、長所を活かしつつ環境という視点で世の中の役に立つ事業展開を図っていく。
【目標】
売り上げ目標も立ててはいるが、それ以上に目指すは100年続く企業づくりである。弊社は今年の7月から第57期目を迎えているが、いろいろな場面で時を積み重ねてきた重さを感じることがある。企業の最大の目的は永続することにあるので、まず60周年、そして100周年を迎えられるようにしたい。そのためには社会に有益な商品やサービスを提供すること、国民の平和で安定した暮らしの実現に貢献すること、社員が充実した人生を過ごせるようにすること、これらを実現できるようにしていく。
これらを本当に具現化出来れば、100年続く企業になるだろう。その過程で、「一人よがり」な考えや行動はもちろん、「自分さえ良ければ」という発想では、いずれ市場や顧客から必要とされなくなることは言うまでもない。