新興国は購買力が旺盛な中間所得層の拡大により経済成長するのに対し、先進国は低所得層が増え中間層の減少で停滞する。経済成長できない最大の原因は所得の二極化である。その結果、既存のモノの市場が縮小を辿り、製造業は国内市場に関して高付加価値戦略に舵を切っている。
その取り組みは、大手企業と中小企業で手段が異なってきている。大手企業は製品の複合化と標準化に的を絞り開発を進める。FA分野でも演算と表示・通信機能を兼備するなど2、3の機能領域を複合した新価値製品を汎用市場に投入している。
中小企業も小規模市場に特化したり、特定顧客向けカスタマイズに近い製品開発を展開しつつある。顧客に応じて性能を変え、しかも機械と人間の共同作業に依らなければ造れない製品を幾つもの小規模市場や特定顧客に販売することで付加価値を向上させる。
流通業界も大手商社は、大手企業の購買窓口の集中化に合わせ量販の優位性を出し、中小商社は地元企業に密着しカスタム品提供で成長を共有し始めている。こうした市場構造の変わり目は、メーカー、商社が「プラスα」で独自性を打ち出す原動力になる。「α」のヒントは当然のことながら顧客が持っている。