三菱電機は、鉄道車両ビジネスの拡大を図る。同社は鉄道事業で2015年度連結売上高2300億円を目標にしており、そのうち海外の売上高は800億円で現在の約2倍の売上げを目指す。このため、国内では安定した事業規模の確保と拡大、海外では北米や新興国での事業拡大を中心に、グローバル市場の拡大を目指す。
同社の鉄道事業関連製品は、車両分野、車両用電機品、地上分野、受変電設備、情報通信システムなどがあり、鉄道事業の基本方針として、徹底的な製品力の強化、グローバル戦略の加速、環境負荷低減・省エネへの貢献を掲げている。
具体的な事業戦略では、国内市場に対しては車両分野での安定した規模の確保、地上分野での事業規模拡大、省エネニーズに対応した次世代鉄道システムの市場投入、環境関連事業の拡大などがポイント。
海外市場に対しては、北米や新興国での事業拡大、車両メーカーとの協調・連携による世界市場への進出、機種競争力の強化、さらに車上情報システムの拡販などを挙げている。
今後の車両ビジネス拡大に向けた戦略では、市場ニーズに適合した次世代の機種開発を加速させている。主回路システムでは、先日発表した省エネ・小型軽量・低騒音が特徴のSiC(炭化ケイ素)適用のインバータなどの拡販、車上情報システムではインテリジェント化、車上保安システムでは安全性向上を推進し、車両用空調装置では快適性向上を図り、約5億円を投資し長崎製作所に新工場を設立、生産体制を30%アップした。
一方、車上情報システム、車上保安システムについては、伊丹製作所(兵庫県伊丹市)内に約37億円を投資し、鉄道車両用電機品の「生産・開発検証棟」を新設し、鉄道車両用情報機器の生産能力拡大と機能のさらなる充実を図る。
特に、需要の増加が期待されるトレインビジョンや、効率的な運行管理を実現する列車情報管理装置などへの対応力強化を図り、14年1月から順次稼働する。建屋は5階建てで、延べ床面積は約1万5000平方メートル。