最近では金型レスのプリプレグ方式モールドトランスの受注も増えている。利点は通常の乾式トランスに比べ、導電部の絶縁や保護に効果を発揮し、難燃性や耐湿性に優れる。さらに金型レスのため、ユーザーが求める様々な容量・電圧に対応するトランスの製作も可能である。
産業用トランスは、電気的安全性確保の重要な役割を担っており、今後も安定した需要が見込まれる。専業メーカーでは、さらなるコスト低減などで原材料高の課題を乗り越えると同時に、新規販売ルート、新規顧客の開拓に積極的に取り組んでいる。
新興国を中心に海外市場に目を向けるメーカーもあるが、最近では全く新しい発電システムを持つ新製品に取り組むメーカーも現れている。例えばトランスの原理を応用し、空芯トランスともいえる非接触給電システムを開発したメーカーでは、電気自動車の給電システムや、クリーンルームなどの無人搬送装置の実用化へ向け、製品開発を進めている。こうした高付加価値化による需要喚起が市場のさらなる拡大へつながるといえる。