経済産業省は2012年度概算要求で、新エネルギー・省エネルギーの導入支援・最先端の技術開発に3次補正プラス3254億円を計上している。内容は、(1)再生可能エネルギーの導入拡大=3次補正プラス741億円(2)再生可能エネルギー等の技術開発=477億円(3)電力供給システム強化=92億円(4)省エネルギー対策の一層の推進=802億円(5)環境性能の特に優れた製品の普及拡大=592億円(6)スマートコミュニティの構築=157億円などである。
太陽光発電、風力発電、地熱発電などは直流発電であり、これら分散電源の普及により地域単位、工場、ビル、家庭で直流配電ネットワークが構築されるものと見られている。次世代送配電ネットワークはスマートコミュニティの実現に向けて、その実証実験も行われているが、いずれ直流送配電まで進化するといわれている。
機器開発も進んでいる。直流集電箱、直流遮断器、直流開閉器、DC/DCコンバータ、DCインバータなどが発売されているが、一層開発が進む。
こうした状況下で、日本電機工業会は、スマートグリッドに積極的にかかわりだしている。IEC/SMB(標準管理評議会)戦略グループSG3(スマートグリッド)、SG4(直流配電)をはじめ国際標準化活動に意欲的である。また、今年1月発足の基準認証イノベーション技術研究組合にも参加した。
日本電気制御機器工業会は技術委員会が「直流給電方式に安全に対応するための制御機器について」調査報告をまとめた。そのなかで、既存の規格はAC電源を前提としており、DC400V程度の高圧直流給電方式に対応するための技術課題をあげている。
日本配線器具工業会は、EV充電用コンセント・差込プラグの規格制定などを行っているが、今後、直流配電への取り組みとして、コンセントの規格化への参画、さらに太陽光発電だけでなく家庭用発電機器、EV車の蓄電池からの電源供給も視野に入れて、ワーキンググループの設置を検討している。
日本電設工業協会は、スマートグリッドに関する動向や関連技術の情報収集、調査研究を行い、効率的なエネルギー利用について電気設備工事業界の在り方、施工関与の方向性を探っている。
海外では、米国が48V直流給電を規格化し、EUでも直流給電における電力装置と情報通信装置のインターフェース規格が提案されるなど、直流ネットワーク実現へ着々と対策を講じている。
日本の電機・制御・電気設備などの業界でも、今後ますます直流配電・給電への関心を高めざるを得なくなっている。