三菱電機は11日、様々な形状のバラ積み部品をパレット上に整列するロボットシステムを開発した、と発表した。今後、同社の生産設備で検証し来年中に商品化する。
セル生産システムが普及する電子・電機業界の省人化、コスト削減へ、従来の人手やパーツフィーダーによる部品供給に代わる新しい自動部品供給方法として提案していく。
国内製造業は、少子高齢化・労働力の減少とグローバルなコスト競争の中で、自動化ラインの変種変量対応力とセル生産の柔軟性を併せ持つ次世代自律型セル生産ロボットシステムの導入が急がれている。同社はこれまで、生産機種の切り替え迅速化、長時間無人運転など組立工程の共通課題を解決する技術を開発、搭載ロボットを発売しているが、さらに今年3月に自動化の困難なケーブルなど柔軟物を含む組み立てロボットを発表している。
これら組立工程のロボットに加え、今回、組み立て前工程の部品供給ロボットの開発により、部品供給から組み立てまで一連の無人化・自動化が可能となる。
部品供給は多様な部品の認識など困難なことから、パーツフィーダーか人手に頼っている。
新開発のロボットシステムは、部品を「つまめる所を探す」「姿勢認識」「姿勢変更」「パレット上に整列」の各ロボットで構成されている。部品を取り出してから姿勢を認識することで、整列処理を単純化・高速化できた。人でしか整列できない複雑な形状の部品も取り扱える。また、取り出しに特化した3次元センシング技術を開発し、ロボットハンドがつまめる所を確認し最速約3秒周期で取り出せる。
扱う部品が変わるたびに部品の3次元形状を登録する必要がなく、初期設定も容易であることも特徴。
新ロボットシステム導入の投資対効果について、同社の試算では、製品の部品点数が9個以上の場合、パーツフィーダーを利用するより有利になるという。
また、セル生産ラインの生産機種の切り替え時は、ロボット制御プログラムの変更で対応でき、パーツフィーダーのように、専用冶具を作り直すなどの手間や時間を省ける。