オムロン(山田義仁社長)は、策定した新長期ビジョン「VG2020」の初年度の取り組みとして、オートメーション事業を中心としたIA事業の強化、アジアを中心とした新興国の積極展開などを掲げている。
特に中国、インド、ブラジルにおいてIAB(工場自動化用制御機器事業)の取り扱いチャネル数、HCB(健康・医療機器事業)の取り扱い販売店舗数が増加しており、販売ルートの強化が着々と進んでいる。
同社は、今年7月に新たな長期ビジョンVG2020(Value
Generation
2020)を発表、グループとして、隆々と成長する真のグローバル企業を目指している。
特に初年度に取り組む重要課題として、オートメーション事業を中心としたIA事業の強化、アジアを中心とした新興国への積極展開、省エネ・創エネなど環境事業への注力、商品ミックスの改善や変動費削減による収益構造の改革、人財のグローバル化加速と風土改革を挙げている。
現地ニーズに応える
中でも新興国への積極展開では、IABとHCBの強化が進んでおり、新興国でのIAB事業強化では、現地のニーズに的確に応えることを前提に、市場の伸びを上回る年率20%以上の売り上げ成長を目指している。
新興国市場のニーズは、安定品質・低価格、人件費高騰による自動化の加速、迅速な顧客対応があるが、同社では強化策として、品質・コスト面で最適な製品の品ぞろえ拡充と、強固な販売ネットワークの確立を実行している。
IABにおける販売ネットワークの確立では、中国で32拠点であったのを52拠点まで拡大している。
さらに、ブラジル、インドでは、経済の成長に伴い販売ルートの強化を推進しており、今年度の目標値として、IABの取り扱いチャネル数をインド114社(昨年比50%増)、ブラジル151社(同42%増)を掲げ、事業を加速させている。
HCBでは取り扱い販売店舗数がインド1万店舗(同33%増)、ブラジル9750店舗(同50%)を目指している。
特に、インド、ブラジルでは、成長強化策としてヘルスケア事業やIA事業などを通じ、オムロン・ブランドの認知度向上と、同社のイメージの確立を図っている。
具体的な例では、デリーやムンバイ、バンガロール、サンパウロなどにおいて、屋外広告や展示会の出展、マラソンイベントの協賛、空港内看板などのPR活動を行っている。
一方、環境事業への注力では、環境事業推進本部が主体となり事業を推進しており、現在の環境ビジネスの事業規模130億円を、早期に500億円体制に引き上げていく。
今夏は節電の要請もあり、顧客の節電ニーズが顕在化、電力使用量の「見える化」による電力量監視機器・制御システムの売り上げが拡大している。今冬もさらなる節電が求められることから、少ない電力で製造業のQCDを確保するというコンセプトで臨む方針である。