植物工場は全国80事業所で稼働しているが、生産コストの削減が技術課題のひとつであり、自動制御システムの開発が急がれている。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)つくば拠点、九州拠点ではモデル工場で民間企業の参画を得て低炭素・省力化技術実証を行っており、植物工場普及のカギを握る自動化技術の進展が期待されている。
農研機構つくば拠点は、太陽光利用型植物工場1棟(2551平方メートル)、品質検査室(98平方メートル)、太陽熱水槽(72平方メートル)で構成されている。トマト、パプリカ、キュウリを生産。ユビキタス環境システム(UECS)を導入し、周年生産の安定・多収化を図っている。また、太陽エネルギー地区熱利用技術の実用化に取り組み、低コストで実現できる低炭素生産システムを提示。
さらに、作物生育を好適にする先進的環境制御手法、自動搬送システムなどによる作業の合理化を図っている。
九州拠点でもキュウリ、パプリカの噴霧式量管理栽培システム、氷蓄熱式ヒートポンプ、太陽熱集蓄熱システム、ユビキタス環境制御システムを導入し技術実証を行っている。
農研機構のほか、千葉大学でも低コスト生産技術実証に入り、愛媛大学、大阪府立大学など、大学での取り組みも進んでいる。
FA制御・配電制御システム各社は、植物工場の普及が自動制御市場の拡大につながるだけに、期待が大きい。
なお、別表の植物工場は農林水産省調査による今年3月時点のもの。