関西地区のFA制御機器市場の動向は、東日本大震災以降の4月から7月あたりまでは、復旧需要として電源装置やトランス、サーキットプロテクタなどを中心に特需があり、活発な動きとなった。さらに、部品の品不足も解消され製品の供給体制も整ったことで、メーカー、商社とも業績の回復は早く、第2四半期の売り上げ自体は前年を上回る状況で推移した。
しかし、復旧需要が一巡した8月以降市場全体の動きが鈍くなってきた。政府の効果的な復興対策や景気対策もなく、被災地のインフラも進んでいないことから期待されていた復興需要も伸びず、こうしたことが停滞の一因となっている。
商社筋では「供給体制は整ってきたが、肝心の需要が戻ってこない状況にある。当面は、需要マインドを上げていくことが大事だろう」と指摘する。
一方、急激な円高に加え、製品の原材料・素材の高騰がメーカーを直撃しており、売上高増は確保したが、利益段階では減益を余儀なくされているメーカーが多い。
市場の動向の鍵を握る関西地区の設備投資の状況は、急激な円高や欧州の金融不安、米国経済の低迷などの外的要因が心理面でも影響し、民間の設備投資は全体的に弱含み状態で推移している。ここ数年、関西地区は大阪・梅田北ヤード開発や阿倍野地区の再開発などの物件があったが、こうした物件はすでに工事が進んでおり、大型のビッグプロジェクトなどの新規案件が待ち望まれるところである。一方、道路などの公共工事関連は底堅く、内需も底堅いとする見方も強い。
こうした状況下、FPD(フラットパネルディスプレイ)関係での生産見直しが急激に進展している。家電のエコポイント終了や地上デジタルの開始以降、テレビの売り上げが急減、家電メーカーの戦略見直しが大きな影響を与えている。
また、タイの洪水被害で、現地に生産拠点を置くメーカーへの影響も深刻になりつつある。
こうした状況下、メーカー機能を併せ持つ商社では、専門のSE部隊を結成し、システム提案から開発・設計、カスタマイズ、サポートまでをトータルソリューションで提供することで、既存の顧客に加え、新規の顧客を開拓することに成功している。