FA・制御流通市場飛躍への一手を模索 年明け後の需要回復期待情報収集、最適なソリューション提案が必要 企業の海外移転で産業の空洞化に危険感も

東日本大震災から8カ月が経過し、発生直後の混乱状態は完全に落ちつきを取り戻した。サプライチェーンも正常化し、納期問題も解消している。受注先行で販売する製品がないといった状態も、6月頃には治まり、各商社の売り上げも上期(4~9月)は前年を5%前後上回っているところが多い。震災発生直後の悲観的な予想と比較すると健闘していると言えるだろう。

しかし、タイの洪水発生だけはあまり予期していた事態とは言えず、まさに寝耳に水の状況だ。

東日本大震災で、東北地方への半導体やコンデンサ、塗料などの生産依存度合いの高さが指摘されたが、タイも自動車部品やデジタル機器部品の生産ストップが、世界のものづくりに大きな影響を与えつつある。

急速な円高に伴う企業の海外生産移管、中国金融引き締め、欧州の金融危機など日本のものづくり環境は厳しくなりつつある。しかし、中国、韓国、台湾をはじめ、アジアの新興国を合わせたアジア全体をひとつの市場ととらえることで、日本というひとつの地域だけを見た狭い市場の視点から脱却することも必要となっている。アジアにはこれから成長が期待できる新興国がまだたくさんあり、そこを市場と見ての戦略は立てやすい。

日本では、付加価値の高い製品を生産し、海外では量産品を生産するという水平分業の動きは以前から取り組まれている。

次は、地球温暖化防止や環境負荷の低減につながる技術・ノウハウを日本からアジアを中心とした新興国に販売していくチャンスが来ている。

日本は今回の震災によって、エネルギーに対する見方が大きく変わった。再生可能エネルギーの活用、節電、使用エネルギーの監視と効率的な活用などに向けて、企業、家庭が総力を挙げて取り組み始めたと言える。

海外生産シフトで国内産業の空洞化対応としても需要拡大が期待されている新エネルギー、電気自動車(EV)関連需要として、バッテリー、パワーコンディショナー、発電機、電源機器などの産業が活気を見せている。これらを世界市場へ供給することで、日本のものづくりは一つの核を築ける。

これに並行して震災復興需要、タイの洪水復興需要なども加わってくることが予想される。タブレットPCやスマートフォン向けの半導体需要増から、半導体や液晶、有機ELなどの製造装置需要も、年明け以降回復するという見方も強く、それまでに地道な情報収集活動と最適なソリューション提案ができる準備を行っていく必要がありそうだ。

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