別表のコスト比較表で見ると、同じスペックだが盆栽キャビネットでまだ20万円以上のコスト削減が可能なことが分かる。進化した制御盤は安全で製作コストが低いのである。
工作機械を例にとって付加価値の構造を説明したい。
工作機械は大きく3つのモジュールから成り立っている。ワークピースと呼ばれる被加工物を加工する部分の機械部、NCとPLCからなる制御部、そして機械モジュールと制御部をつなぐ配電部(制御盤)である。
機械部と制御部は小型、高剛性、高速、高精度が付加価値で、お互いにその価値で連結しやすいモジュールだ。現在もそのスペックはますます上がっており、高スペックのモデルは国際競争力が非常に高い。しかし、配電部には簡単に付加価値をつくれない。これは空気が多いからだ。
一般論だが、今日、空気を多く含む部品、製品に付加価値をつくりだすことは難しい。逆に空気の少ない高効率モーター、NC装置、またスマートフォンなどは付加価値がつくりやすい。つまり、箱である制御盤に付加価値を見つけることは運命的に難しい。
欧米の制御盤は付加価値創造をとっくに諦め、コスト重視に方向転換している。そして、安全規格を創出し、搭載することで日本と差別化を図った。しかし日本は今でも付加価値をつくりだそうとして取り組んでいる。周回遅れの感がある。
韓国も日本の高コストの製造思想をベンチマークから外した。つまり、車のバンパーの裏側も磨くような、日本車のコンセプトを見習わないことにしたのだ。(次回は12月7日付掲載)