オリンピックは過酷な競技である。知識と技術力はもとより体力、集中力、スピードが要求されるのだから、一朝一夕ではとても身に付かない。技能五輪国際大会でメダルを獲得した選手、関係者の喜びを製造業に従事する人たちは我がことのように感じ、仕事に対する意欲を高めたのではなかろうか。
競技職種メカトロニクスは、製造・組立・検査からなる生産設備の設計、据付、プログラム開発、試運転、メンテナンスまでの能力を競う。機械工学、電子・電気工学、情報工学の幅広い知識と技術が求められるため、1チーム2人の編成である。今大会では日産自動車の川辺裕也選手と三品英則選手が金メダルを獲得した。
競技時間も長い。例えば、協和エクシオの森野陽気選手が金メダルを獲得した情報ネットワーク施工職種の日程は、1日目構内幹線配線など6時間5分、2日目が光接続など3時間、3日目がビル内配線7時間、4日目が住宅内配線2時間である。並みの心構えではとても無理で過酷な4日間18時間である。
日本の製造業は、内需不振、欧米の金融不安、財政赤字、新興国の経済成長減速という四面楚歌に近い状況だが、五輪選手の気持ちで臨み強く思考し実行すれば抜け出せる。一次産業の二次産業化、社会インフラの再構築などFA業界にも光明をもたらす材料はあるのだから。