不二電機工業(小西正社長)の鉄道車両向け事業が好調に推移している。同社は鉄道車両向けに各種の高機能スイッチなどを納入している。既存車両に採用されるケースが中心だが、最近では新型車両に採用されるケースが増えており、今後は新型車両用の製品開発にも注力し、現在約1億円規模の鉄道車両向け事業を、早期に5億円規模の事業に拡大させる。
同社は、電力・重電機器業界向け製品の開発で培った技術を駆使し、高品質、高信頼性の鉄道車両向け製品を開発。1992年に切換スイッチで鉄道車両分野に参入を開始、以後、製品の幅を広げ納入実績を拡大するとともに、評価を積み重ねてきた。昨年からは鉄道技術展にも出展し、高い評価とともにブランドの知名度も上がってきた。
現在、同社の鉄道車両向け製品では、密閉構造ユニットを用いた高い接触信頼性を誇る運転台選択スイッチや方向切換スイッチ、連結操作スイッチ、軽量・省スペースの保安器切換スイッチ、高頻度の使用に耐える戸閉め検出スイッチ、大電流にも耐えるコネクタや端子台、省電力で高輝度・長寿命のLED車側灯や尾灯などがある。
従来は、既存の車両に採用されるケースが多かったが、高品質性や不良品がないことなどから最近では新型車両に採用されるケースが増えており、北米や韓国など海外の鉄道車両に向けての商談も進んでいる。
今後は新型車両用の製品開発にも注力し、現在約1億円規模の売り上げを早期に5億円規模の事業に拡大させる方針。
なお、同社の12年1月期第3四半期決算は、国内では電力や電鉄・車両業界、海外では台湾や東南アジアなどに積極的に営業を行った結果、変電設備や受配電設備向けの製品が好調に推移し、売上高は24億7800万円(前年同期比11・85%増)と増加した。
一方、利益面は新しく稼働したみなみ草津工場の人件費などの経費増に加え、原材料の増加により、営業利益3億円(同5・4%減)、経常利益3億2200万円(同5・3%減)、純利益1億8400万円(同7・0%減)と減益となった。