日本は制御盤の縦ダクトと連結する横ダクトを数寄屋作りのように組み付ける。そのカットとバリ取りにどれだけコストがかかり、制御盤として何の機能的メリットがあるのだろうか。
意匠を過度に意識した指定塗装、中板による二重構造で冷却効果を下げ、ケーブルダクトの多用で長く迂回した配線が現在の「制御盤の形」である。制御盤は蓋を開けても美しいことが品質とする、ユーザーの品質意識が変わらなければ、制御盤各社もまた変わるのが難しい一面がある。
30年間、この配線方法を良しとしてきたが、ユーザーも制御盤メーカーもグローバル時代のなかで世界標準に合わせるべく、意識改革が喫緊の課題だ。
この取り組みは一部で萌芽しつつあるが、業界全体に波及させる最良の方法として、ユーザーを含め関連する工業会に世界の情報収集と業界のリード役を大いに期待している。
そうでなければ、制御と制御盤の業界がアジアでの地位を守れなくなる。
日本の鋳物産業は100年以上の歴史をもった偉大な工業だったが、90年代に一斉にアジアに流れた。また、お家芸の金型も超精密を除き2000年代に多くが消えた。もう帰って来ることはないだろう。制御盤は同じ轍を踏んでほしくない。