電力関連需要が伸びる
機械・装置のインターフェイスを担う操作用スイッチ市場は、日本電気制御機器工業会(NECA)の統計による2010年度の出荷高は357億円で、前年比35・7%増と大きく伸長した。11年度第1四半期の出荷実績は、国内66億円(前年同期比0・5%減)、輸出19億円(同12・9%減)、総額は85億円(同3・6%減)となっており、東日本大震災の影響は徐々に薄れつつある。
しかし、継続する円高や欧州の金融危機、タイの洪水被害など不安要因も多く、今後の市場動向は予断を許さない状況にある。
市場個々の動きは、主要市場である半導体・液晶製造装置向けは動きが鈍くなっているが、情報機器向け、スマートフォン、自動車電装用、セキュリティ機器などの分野は堅調に推移している。
さらに、社会インフラ絡みの電力関連や新エネルギー関連、鉄道車両関連でも需要が伸長している。とくに電力関連や発電関連では、ここ数年、需要が増加してきたが、今後は原子力発電所に代わる火力発電所の建設や、更新需要に期待がかかる。
新エネルギー関連では、太陽光発電や風力発電に絡むパワーコンディショナー向けへの需要が見込まれている。
鉄道向けは、地球温暖化問題を背景に、環境への負荷が少ないことから見直し傾向が強まっており、関連需要は大きい。鉄道車両では、運転席周辺やドア、座席などに操作用スイッチが多数採用されている。
こうした社会インフラ関連に採用される操作用スイッチは、安全性や確実性、耐環境性などが求められることから、スイッチメーカーの技術レベルをアピールできる機会でもあり、同時に付加価値を高めた拡販も行える側面を持っている。
そのほか、高齢化社会に対応した福祉機器やセキュリティ機器にも操作用スイッチが採用されており、今後需要が伸びる市場といえる。
市場の拡大に伴い、販売競争も激しくなっている。台湾や韓国、中国などのメーカーではローコストを前面に打ち出し、拡販を強める傾向にあり、こうしたメーカーの品質も向上しつつあることから、一定の影響力も出始めている。
日本や欧州などのメーカーは、中国など需要地に近い場所での現地生産比率を高めることで、コストを下げるとともに、為替リスクを回避し、ローカルメーカーとの競争に勝ち抜こうとしている。
安全対策が開発ポイント
操作用スイッチは、基本的に使用環境や操作頻度、取り付けスペースなどを基準に選択されるが、最近では小型・薄型・短胴化、デザイン性、安全性、LEDやEL採用による高輝度・高寿命化、信頼性の向上、安全対策、保護構造の向上などが開発の大きなポイントになっている。