防爆対策は「耐圧防爆」「内圧防爆」「安全増防爆構造」「本質安全防爆」「油入り防爆構造」などがある。
「耐圧防爆」は着火源を頑丈な箱で被い、電気火花により着火した火炎や高温ガスを箱の外に出さない方法で、内部で点火爆発しても外部に悪影響を与えない構造となっている。容器は内部の爆発圧力に耐え、周囲の爆発性ガスへの火炎逸走を防止する性能を持たなければならない。光電スイッチ、バーコードリーダー、プログラマブル表示器、電子天びんなどで採用されている。
「内圧防爆」は箱内にきれいな空気などを封入し、内部の圧力を外部より高く設定することで、外部からの危険ガス侵入を防ぐ構造。内部圧力の保持方法によって、給気口や排気口を設ける通風式と、密閉する封入式がある。操作盤など大型の電気機器で採用されている。
「安全増防爆構造」は正常な運転中、操作の際に点火源を持たない電気機器(巻線、接続端子など)に限定して適用できるもので、接点開閉部、高温発生部などのある電気機器はこの構造を採用できない。一般的に点火源を持たない電気機器が点火源となりにくいように安全度を増加させ、断線、絶縁不良などの故障が起こりにくいようにしている。
「本質安全防爆」は、あらかじめ電気火花エネルギーを点火エネルギー以下になるようにシステム構築する方法。その電気火花は、爆発性ガスに対する最小点火エネルギーの50%以下に設計されている。この構造は、必要に応じ各種安全素子を活用し、安全回路自体に防爆性を持たせている。接点信号変換器、表示灯、ブザー、近接スイッチなどで採用されている。最近は、コスト面からフィールドバス用のバリアより本質安全防爆構造の機器を使うケースが増えてきている。
「油入り防爆構造」は、火花やアーク、高温度を絶縁油の中に深く沈めて爆発性ガスが点火源となる恐れのある部分に触れないように隔離したもので、内圧防爆構造と同じような性格を持つ。
また、「バリアリレー」は本質安全防爆構造の一種のリレー中継装置で、危険場所にあるリミットスイッチや押しボタンスイッチなどのON/OFF信号を、非危険場所へ中継させる。
「防爆機械安全」が登場
最近では、国内防爆検定取得と機械安全規格認証を受け、防爆安全と機械安全両方を満たした「防爆機械安全」というセーフティリレーバリアが登場し、新しい需要を形成している。機械安全と防爆安全が確保されたシステムで、爆発性雰囲気内での安全システム構築に対応する。例えば、このリレーバリアに非常停止用押しボタンスイッチや安全スイッチなどの安全入力機器と、安全規格に適合したコンタクタを接続することで、防爆安全と機械安全の双方が実現できる。
NECAでは、防爆電気機器の点検や保守の促進、啓発を目的とした「防爆安全ガイドブック」を発行しているが、イラストを多用するなど読みやすく分かりやすい内容で好評を得ている。
また、NECAでは、機械運用安全で設けているセーフティアセッサ資格認証制度を防爆電気機器分野でも設けた。「セーフティベーシックアセッサ」(防爆電気機器安全資格制度、略称SBA―Ex)で、防爆電気機器を使用する現場設備の安全パトロールや点検を行う設備の運用者、管理者、オペレータ、保全関係者などを対象に、防爆電気機器に対する正しい基礎知識を持ってもらうことを狙いにしている。FA制御機器分野での防爆関連製品は、既存製品に加え、通信IT分野などに拡大の輪を広げている。バリアフリーの防爆安全環境が実現する可能性も高くなってきたようだ。