新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
2011年のロボット業界は、国内需要が震災等の影響で自動車を中心に前半伸び悩んだものの、年後半には回復が見られました。一方、需要の7割以上を占める海外需要は年前半まで堅調に推移したものの、後半には中国の金融引き締めや欧州の金融不安などから鈍化しました。全体として、11年のロボット生産額は、前年比約8%増の6000億円を見込んでいます。
12年の今年は、我が国では依然として高水準の円高及びデフレ基調が続くとともに、個人消費や設備投資の弱含み感が見られるほか、海外では欧州の債務危機や米国の財政緊縮策など下振れリスクといった不透明感が伺われます。しかしながら、我が国の第3次補正による政策効果や中国の金融緩和策等、景気の下支えによるロボット需要の拡大が期待されており、12年のロボット生産額は、期待値として6500億円、さらに新春の初夢、新年の抱負として7000億円の目標を掲げたいと思います。
当会では4月1日をもって一般社団法人に移行するのに加え、今年10月には創立40周年を迎えるにあたり、次の更なる成長・発展に向けて業界として以下の3項目を重点に取り組むこととします。
第一は「市場拡大に向けた取り組み」です。産業用ロボット分野では、従来の自動車、電子・電気といった二大産業に加え、食品、物流、医薬品等の新規市場の開拓が急務となっています。一方、グローバル競争下で生産コストの改善に向けたプロセスイノベーションといった新たな市場拡大のチャンスも到来しています。これらの対応にあたっては、その要であるシステムエンジニアリングの分野でロボットメーカ、ロボットエンジニアリング企業の自助努力のみならず、関係業界との連携を図りながら市場拡大に努めることが重要です。
また、新規産業分野として期待されるサービスロボット分野についても、当会が事務局を務める「ロボットビジネス推進協議会」を通じて、普及にとっての社会インフラ整備やNEDOの「生活支援ロボット実用化プロジェクト」との連携により市場の顕在化に向けた活動を推進します。
第二は「産学連携の推進」です。ロボット業界においてはグローバル競争が一段と進むなか、欧米先進国は勿論のこと、韓国、中国などの新興国メーカの躍進も見られ、研究開発を通じたイノベーションによる差別化が今求められています。海外では国や地域が産学連携のもと、積極的にロボット技術開発を行う一方、我が国においては産学連携での見劣り感は否めず、新たなイノベーションの創出に向け業界としても産学連携を推進することとします。
第三は「国際標準化の推進」です。国際標準化については、事業戦略の実現に向けた重要なツールとして政府も注力しているところですが、ロボット業界自らが国際標準化活動の場でその規範形成に汗をかき、我が国の存在感を高めることが重要です。このようななか、今年は産業用ロボットの人と協調動作をする場合の安全に関するTS(技術仕様書)についての最終投票が行われる予定です。サービスロボットの安全に関しても今年は国際規格化に向けた最終投票の予定に加え、4月にWG会議を東京で開催します。このように、日本としても国際標準化に積極的に関与することとします。
以上に加え、特に今年は、創立40周年を迎える節目の年にあたるとともに、一般社団法人として新たなスタートを切る年となり、業界の再活性化に向けて意欲的に諸事業の展開を図る所存です。
引き続き関係各位の一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様のご活躍、ご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。