欧米の金融不安、中国のバブル崩壊、新興国の景気鈍化、円高が進展する中で、2012年の設備投資の先行きに関心が高まっているが、国内の設備投資は堅調に推移する見通し。しかし、設備投資業種に変化が出ている。自動車、設備、家電関連などの外需関連分野は低下する一方、建設、食衣生活など内需関連が上昇する。FA制御各社では今年、内需関連の需要開拓で業績向上を図る政策が強化されるものと見られる。とくに、ビルや港湾施設、食品加工、医薬品など向けにFA・省エネ技術の応用展開に注力することになりそう。FA制御業界の業績を左右する今年の設備投資動向にスポットを当ててみた。
■ “復興需要”が下支え
昨年11月にまとめた2012年度経済見通しによると、企業の設備投資は増加基調で推移する。官公需中心に高まった復興需要に加え、民間需要、海外需要ともに順調に増加すると見込まれ、景気の回復力が再び強まってくると見ているためである。
設備投資に関して、東日本大震災後の供給体制の復旧を受けて生産水準は持ち直してきているものの、設備稼働率は依然として低水準にある。そのため、増産を目的とした設備投資に結びつきにくい状態が今後もしばらく続く。
また、海外の生産拠点へと投資対象をシフトする動きや、財務の健全性確保により、設備投資全体への弾みにはつながらない。
ただし、震災で毀損(きそん)した設備ストックを復旧させるための投資、競争力を維持するための投資、需要の変化に対応するための投資が行われ、設備投資全体を下支えする。
そのため、11年度の設備投資が前年度比プラス0・1%の見込みに対し、12年度はプラス3・8%と拡大する。
■ 建設、家電、食関連が改善へ
昨年12月8日発表の「中小企業景況調査」によると、2012年の中小企業の業況判断は、11年に比べやや悪化する見通しであるが、業種でみると設備投資関連や乗用車関連、家電関連といった外需関連分野では低下する一方、建設関連、食生活関連などの内需関連分野では上昇している。
ただし、設備投資額では内容が異なってくる。2012年の設備投資額DI(「改善」から「悪化」を差し引いた企業割合)はマイナス5・3で、11年実績見込みより2・9ポイント低下する見通しとなっているが、需要分野別の設備投資額DIでは建設が11年0・0から12年プラス1・1へ、設備投資関連が2・7からマイラス4・5へ、乗用車関連マイナス9・8からマイナス11・7へ、家電関連がマイナス12・5から0・0へ、食生活がマイナス8・5から0・0へ、衣生活がマイラス11・5からマイラス23・5へとなっている。設備投資額で見る限り、建設、家電、食関連が改善する見通し。