昨年は東日本大震災の影響やタイの洪水、欧米諸国経済の減速、急激な円高、原油や貴金属の高騰などの制約もあり、大変厳しい経営環境が続いた。産業用スイッチ業界においても、一昨年度の緩やかな回復基調から停滞基調に転じる最中で発生した震災の影響は大きく響いた。
当社グループは当期から3年間の中期経営計画「Quantum Leap Breakthrough」がスタートし、「世界一の産業用スイッチメーカー」を目指して、競争力強化と体質強化に尽力することを基本に、グループ一丸となって活動に取り組んでいる。
新中期経営計画の最重要課題として北米市場でのシェア10%獲得を挙げている。その鍵を握っているのが、全世界規模で販売展開するグローバルディストリビューター(GD)の存在である。GDからのNKK商品に対する評価は非常に高く、景気低迷が続く北米市場でも売り上げを伸ばすことができている。今後もGDとの信頼関係の構築に努め、NKKブランドの一層の認知・浸透を図っていく。さらには、中国で独資による販売会社設立を計画している。中国が世界の工場から世界のマーケットへと変化する中で、独自の販売会社設立により顧客拡大につなげていきたい。
当社は品質技術で生き抜いてきた企業だが、現状に満足せず、さらに強化していく必要がある。具体的には「開発力」「技術力」「部品力」を強化する。開発力と技術力に加え今年度から「部品力」の方針を打ち出した。モノづくりの原点は部品にあり、設計段階までさかのぼり部品を強化することで、さらなる品質、納期、価格を追求していく。
伸長が期待される市場を特定し、その市場にマッチした新商品の投入や、市場独特の要求に対しても細やかな対応を図り、品質を基盤としたより魅力的で差別化された商品を投入していく。