昨年は、めまぐるしい一年であった。国内では東日本大震災の発生、急激な円高、海外では欧州の債務危機、米国の財政赤字、新興国の経済成長の鈍化など続出した。
大震災時は、部材の供給に対する影響が心配であったが、弊社は常に先行して1カ月分程度の在庫を持ち、また仕入先様とも良好な関係を保っているため最大限の協力を得られ、生産の遅れは最小限にとどめることができたと考えている。受注も予想通りに推移した。工場統合など内部改革を実行した結果、昨年9月期決算は黒字を計上した。
当社は「自立したメーカーとして生きる」を目標に、3年前にグループの製造会社を吸収合併し、一昨年、工場の統合一本化を行った結果、工場の稼働率が高まりフル操業が続いている。また、管理、物流の効率化、営業と生産の近接化が可能となり、前9月期の業績の改善につながった。
長期視点から、技術部門のなお一層の充実も図っている。
弊社はEN規格生産ライセンスの取得をはじめとする海外規格対応、RoHS指令対応を先駆けて実行するなど地道に展開してきており、さらにお客様の新たなニーズに対応すべく医療機器用や耐雷、ノイズ防止トランスを市場に投入してきた面もお客様に評価され、受注増加という形で表れていると思う。
今年の行動目標は「売れる」から「売る」へ社内の意識改革をより徹底したい。例えば、営業、技術・製造現場間の風通しをより良くすることで、結果的にお客様との距離を縮めることにつながり、「売れる」から脱却できるのではないか。
今年の国内景気は大震災復興投資が始まるので業種に差があるものの上向くと考える。しかし、海外に目を向ければ、米国では消費がおだやかに回復しつつあるようだが、ユーロ圏の不安定要素が払拭されず、全体的には不透明感が残る。