昨年は、国内外で自然災害・経済問題が多発した一年であった。欧州では国債が下がり金利が上昇して混乱していることを考えると、日本はしっかりした国だと思う。
しかし、日本も社会環境は大きく変化し出した。原発事故で分散電源、省エネ対策が喫緊の課題である。製造業も能力増投資は海外へシフトし、国内では品質機能増投資へと変わりつつある。
今年はこの変化がより顕在化する。分散電源や省エネ分野は燃料電池、マイクロ水力、リチウム電池、太陽電池が普及の速度を速める。また、大から小へ、重から軽へ省エネ追求が進み、通信技術も進展する。
この趨勢は、われわれ盤業界の裾野を拡大する。その需要を得るには、技術革新が求められる。ネットワーク、通信技術の取り込み、省電線による省エネ化、制御PCボードの小型・ポータブル化、ハード機能のソフト機能化などである。
当社ではMOT(技術経営)を志向しているが、価格↓品質↓技術↓営業↓マーケティングの流れを好循環させ、新時代が求める価格、品質、技術などの水準を高める。
品質に関しては品質会議とISO会議を設けたほか、バーコードによるトレーサビリティ運用を始めた。価格面は3DCADによる生産ラインの同時・同期化でコスト削減を実行する。
技術面は、分散電源により太陽電池アレーチェッカーのニーズが高まる中で、日本に次いで韓国でも特許を取得した。また、PCボードの微小化に対応するため検査機などを導入し対応力を付けた。パワーエレ関連では人材を採用して盤内部品の開発を進めているが新製品につなげたい。通信ではインターネット経由のスマートデバイス、ビル管理オープンネットワークBACnetを活用し、制御ではパソコンのボード化などに取り組む。
こうした事業展開で、来期も売上増加を図る。