30年ほど前、静岡県浜岡原子力発電所を見学した際、私が見学後の質疑で核融合原発の開発進捗状況を聞いたところ、今の原発は核分裂で核融合原発の実用化は何年先か分からないとの回答であった。昨年3月11日発生の東日本大地震による福島原発への影響が仮に核融合原発だったらどうだったのかと、30年前を思い起こした。震災直後の14日からテレビを見ながら東京電力へのファクス送信が始まった。
「日頃は潤沢な電力を供給いただき誠に有難うございます。このたびの地震によるアクシデント、心から同情申し上げます。いつ点くのか消えるのか分からない電力を供給するより、利用者に節電を任せるべきでしょう」「私にヘリコプターの運転を教えていただけるのなら発電塔の上でいったん停止して水を落としてきます。1億3千万人を代表して」など26日間10回におよんだ。ファクス送信の理由は99年9月30日に発生した東海村臨界事故の二の舞い、被害が全世界に広がる可能性、東京電力が電気部品供給の大事なお客さんであったことなどである。
昨年4月7日、東京電力清水社長からファクスへの礼状を頂いた。地震発生直後、東京電力に対し、責任は国が持つと言っていれば、結果がどんなに変わっていたか。未だ原子力発電に関して賛否両論、世論を二分しているが、なぜ現存品だけで議論しているのか。専門的なことはよく分からないが全世界で衆知を集め、安全な核融合原発ができるのではないか。
ここ数年、地球に優しい商品が産業を牽引しているが、我が端子盤業界にあっても新規需要の大半がエコ用またはエコ品である。電力関係も風力、地熱、太陽熱などエコそのものと水力、火力、ガスタービンのエコタイプに変化している。景況は、昨年4、5月は震災による材料不足懸念から2倍の受注、6月以降一転して前年比横ばい推移。