世界市場の壁がなくなり、商いが広域化しているため、大国やブロック単位の経済変動が即、各国に影響を及ぼす時代に入った。このようなグローバル化のもとでは、為替変動などに左右されないように、バランスを取る経営が必要である。
欧州の債務国問題、米国の財政赤字、欧米向け輸出依存度の高い新興国の経済成長率の鈍化を見ると、ますますバランス経営の重要性が強まっていると思う。
当社の半導体関連事業は、携帯型情報通信機器向けに受注はあるものの、昨年後半からの急激な円高で採算が悪化している。他方で、中国で加工し日本で組み立て販売している住宅関連事業は円高を利用して採算性が高まっている。もちろん、円安になれば半導体関連事業に注力し、為替変動に強い体質にする。
今年の景気は、先行き判断が難しい。あえて言えば、東日本大震災の復興需要は見込めるものの、海外の経済成長が低迷するので、良くならない。復興関連産業は伸びるが、輸出産業は厳しい状況が続き、新規の生産設備投資が抑制される。円高が続くなら製造業のアジアへの生産シフトも加速する。
もっとも、中国は生産の自動化投資が増える。中国は一人っ子政策で高齢化が進んでおり、当社の中国工場でも従業員の採用が以前より難しくなっている。中国の製造業は人件費の高騰と就業者不足で、自動化せざるを得ない状況がより強まっている。その点で見ると、制御機器市場はまだまだ拡大すると思う。
当社も中国市場に期待を持っているが、すぐに模倣される可能性が高く、慎重に計画していく。制御関連の情報収集を常に行っており、市場を見極めていつでも製品を販売できる体制を敷いている。中国からの輸入も検討段階である。
いずれにしても、中国と日本とのバランスを取りながら経営していく。