昨年の前半は安定した出荷実績を維持できた。しかし、後半は東日本大震災や急速な円高の影響、また半導体産業の投資減速などの影響で低迷した。
今年はこれまで開拓してきた新規案件で、ISO/IEC14908LONWORKS対応製品の本格的な導入が始まると予想される。今年を収穫の年と位置づけ、前年比で約20%の売り上げ増を目指す。
成長の要因は大きく二つ。まず、国内の大手空調機器メーカーで、エアコンのユニット間ネットワークとして当社の通信技術が採用された。すでに当社通信チップの本格的な納品が始まっている。FT―10ツイストペア線仕様(ISO/IEC
14908―2)は、優れた耐ノイズ性や、フリートポロジによるケーブル敷設の柔軟性が高く評価されている。そのため、オープンなLONWORKSではなく、クローズな組み込み制御ネットワークとして、気づかれずに身近で使われていることも多い。
さらに、今年は国内電力会社向けのスマートメータで使用される当社通信チップの出荷量が、大きく増える見込みである。電子式の新型電気料金メータに、当社通信チップを組み込み、PL―20電力線通信(ISO/IEC14908―3)の機能を持たせる。この通信基盤でリモート検針をはじめとする様々な電力会社によるサービスが実現される。成長が見込まれるスマートグリッドの一分野である。
これらの結果に満足することなく、提携関係を深める伊藤忠商事と、さらに広範なLONWORKSの適用分野を開拓する。手始めに3月から茨城県つくば市で電力線通信を応用して街路灯の調光などを行う、スマート街路照明システムの実証実験を開始して、それを全国に展開する。BAに加えて、これら新規の適用分野を今後の収益の柱として育てていきたい。