レイアウト、設備をモジュール化し省電力・省スペース化を可能にしたのがモジュール型データセンターである。ICTラック、電源システム、空調システムをパッケージ化し提供するため、事務所の空きフロア、空き倉庫、工場敷地内などを利用してデータセンターを構築できる。
データセンター専用の建物を建設する初期投資を抑制しながら、データ量の増大に合わせて拡張する柔軟性も備えている。短期間で開設できるのも大きな特徴である。
例えば、規模やニーズに応じて、既存データセンターやビルフロアの一部をパーテーションなどで区切り、ラックに分電盤、サーバー、空調機、UPSを収納してモジュール化するため移動やモジュール単位での増設も簡単で、しかも他のフロアとの共存性にも優れている。
分電盤はラック型。ラックは熱対策ラックを採用し、ラック内の熱溜まりを解消する(図1)。
■移動性に優れる コンテナ型データセンター
データセンターの設備をコンテナに収納したタイプで、移動性に優れるほか設備コスト、設置スペースを低減できる。国内建築法、消防法をクリアしているため、屋外へ設置が可能で自然災害時などにも威力を発揮できる。冷却は19インチラック収納のサーバー、UPSから出る熱を天井の冷却ユニットを通して循環させる。
また、コンテナ型のため、遠隔監視制御、セキュリティ対策が重要になるが、総合遠隔監視システムから冷房機器、電力、電源状況の確認、また、監視カメラによるサーバーの目視確認が可能である。セキュリティ対策は、監視カメラで外部を監視し、生体認証や電気錠による入退出管理で不正侵入を防止する。総合遠隔監視システムとはLANなど通信を利用する仕組みである。分電盤はコンテナ室内の背面などに取り付けられる。
■消費電力を削減 高電圧直流給電システム
データセンターの電力供給方式として、高電圧直流(HVDC)給電システムが注目されている。交流給電システムに比べ消費電力の削減、給電信頼性の向上、電源スペースの削減が可能であることから、節電・省スペースのニーズにマッチするとして今後、普及しそうである。このHVDC給電システムは、DC380VをICT機器に供給できるため、スマートグリッド領域への拡大も見込まれている。
システムは、外部の交流電源をHVDC整流装置(電源装置)でDC380Vに変換し、HVDC分電盤で分岐しサーバーに供給する。
HVDC整流装置は19インチラック型。HVDC分電盤は分岐回路に過電流や短絡が発生したときに他回路への影響を及ぼさない機能を備えている。
■最適機器を用意 熱対策
サーバーの増加に伴いラック内の熱対策は急務になっている。電子部品は自ら発熱するものの高温に弱く、故障の過半が高温に起因している。そのため、データセンター全体の空調管理もさることながら、ラック内の熱対策が重要となっている。ラック自体の構造も通過型、密閉型、屋内用、屋外用がある。
高温対策としては、自然換気、強制換気、強制放熱、強制冷却、局所冷却方式でそれぞれ適した対策機器が用意されている。また、低温対策、湿度対策、温湿度管理が施されている。ラックメーカーでは熱対策機器も取り付けて納入する体制を整えている。
■受配電盤需要も 自然エネルギー発電
データセンターでは、水力発電、風力発電、太陽光発電、地熱発電の利用も今後進みそうである。そのため、受配電盤の需要増加も期待できる。