謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。平素より当協会の事業活動に多大なご支援、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
はじめに昨年3月11日に発生した東日本大震災で被災された皆様には心からお見舞いを申し上げます。震災から早9カ月が経過しましたが、その傷跡はまだ深く一日も早い復興をお祈りしています。
昨年の我が国経済は年初から各種経済指標が改善傾向を示していたものの、東日本大震災をはじめ急激な円高、欧州の経済危機など様々な要因が日本経済に大きな影響を与えた年となりました。
当協会の業績動向は、製品特性から景気の影響を受けにくい特徴を持っており、比較的順調に推移してきました。今後しばらく設備投資や生産の調整が続くことがありましても、人々の安心・安全や作業の効率化につながる自動認識システム業界は、他産業に先駆けて業績の回復が見込まれます。同時に社会的使命に応じた責任を果たしていくことになるでしょう。
このような状況下、当協会を取り巻く環境も変化してまいりました。その一つに昨年5月に出された電波法の改正があります。この法改正によってRFID
UHF帯周波数の再編が行われることとなります。当協会では各担当省庁と密接な連携をとり、関係企業の皆様がスムーズな移行が行えるよう万全な対策を進めてまいります。
当協会の昨年の活動は、1月の「第8回自動認識総合展
大阪」に続いて、8月31日から9月2日には“効率・効果"先端ソリューションを支える自動認識技術と題して、「第13回自動認識総合展」を東京ビッグサイトにおいて開催致しました。昨年度から設定した自動認識技術を活用したソリューションを集中展示する「自動認識ソリューション展示ゾーン」には、多くの企業の方々に出展していただきました。また、第13回システム大賞では応募が17件と多数寄せられ、その中でユーザーが会員企業と共同で応募する事例が多くあり、当システム大賞のユーザー層への広がりが一段と進んでいます。応募作品の内容は、消費者に直接関係する分野での「安心・安全」や社会的利便性の向上に向けてのシステムが多数あり、システム大賞が人々の生活に幅広くかつ深く浸透してきた感があります。
普及啓発事業では、東京・大阪で自動認識総合展併設セミナーを開催し、多くの方々が受講されました。特に8月31日に開催した特別セミナーでは4講座に延べ800人の参加を頂きました。
自動認識システム技術者認定試験制度については、第16回・17回・18回基本技術者認定講習・試験を行いました。当試験合格者は第1回よりの累計で1000人近くとなり、業界のレベルアップに大いに貢献していると思います。また、より高度な専門資格試験としてRFID専門技術者資格認定講習・試験を実施しました。
標準化活動は当協会が特に力を入れている分野であります。経済産業省等からの受託事業として、当協会からの提案が採用された「バーコード・RFIDを合成したリライタブルハイブリッドメディアの標準化」は、ISO化が実現し、さらにJIS化に向け取り組んでいます。
また、バイオメトリクス関連では「アイデンティティ・マネジメントへのバイオメトリクス組み込み時の課題と海外動向、標準化動向に関する調査研究」、その他標準化活動を円滑に推進するため「国際人材活用型国際標準化事業」を活用した国際標準化の実現、「国際複合一貫輸送における商用車及び貨物等可視化のための車載器を活用したアプリケーションプロファイル標準化」、「サプライチェーンマネジメントへのRFIDの適用」などの物流アプリケーションに関連した国際標準化を推進しています。
自動認識システムは、今後最先端技術を組み合わせることにより、いろいろな産業分野で安心・安全のソリューションを提案するものです。当協会は、大震災による電力不足やサプライチェーンの寸断を踏まえ、エコも含めて新たな発展の芽を模索しつつ、より一層業界及び省庁間の連絡を密にして具体的な事業の継続・発展に尽力して参ります。
本年が皆様にとって素晴らしい年になりますことを祈念して年頭のご挨拶と致します。