相原電機(大阪市平野区瓜破4―2―32、TEL06―6707―3456、城岡充男社長)は、中期計画の重点施策として新分野への注力を掲げているが、非接触給電システムやパワーエレクトロニクス分野における太陽光発電用パワーコンディショナなどの新規事業が具体化しており、製品発売や量産化に向け体制を整えている。
パワーエレクトロニクスは、電力変換と制御の応用技術で、交流から直流に変換する整流器や、直流を交流に変換するインバータなどが挙げられる。
応用例では、発電・送電などの電力分野、回転機・ファン・ポンプ・ブロアなどの産業分野、工場などの電源装置、電車の駆動・変電分野、さらに自動車、家電分野など幅広い分野で応用されている。
同社は、昨年からスタートした中期計画「大河」で、力を蓄えておくこと、新分野への注力、外作拡大の3つを重点施策に掲げており、2年目に当たる今年はこれらの施策をより具体化させている。
特に新分野への注力では、非接触給電システムやパワーエレクトロニクス関連で具体的な成果が現れてきた。
同社が開発した非接触給電システムは、トランスと同様に電磁誘導作用によるもので、電源コイル側(一次側コイル)と、受電側コイル(二次側コイル)間を空中で磁気的結合を行わせ電力を伝送する。無接点・非接触で、一次側と二次側コイルを30センチから50センチ近づけると通電し充電できる。
充電の露出部を完全になくすことができ、火花が発生せず安全で、水や塵埃に強く摩耗することがない。一次側と二次側の位置関係に自由度があり、床や天井への設置や、壁埋め込みも可能である。プラスチックやガラス越しでも送電が可能となっており、非接触なのでメンテナンスが簡単である。
同社では昨年から同システムの実用化に向け、協業メーカーなどの協力を得ながら開発を行ってきたが、ビルの窓清掃や搬送機分野で具体的な案件が動いており、今夏をメドに本格的に事業展開を行う方針である。
一方、パワーエレクトロニクス関連では、家庭やビル・マンション向けの太陽光発電用パワーコンディショナの製品化に注力しており、発売に向け詰めの段階に入っている。同社では、このパワーコンディショナ・リアクトルについて、次世代のリアクトルとしても期待できるとしており、こうした分野での実用化に向け開発のスピードを加速させている。
さらに、同社ではスマートハウス向け系統連携トランスにも取り組んでおり、近く量産を開始する予定である。
城岡社長は「こうした新製品は、当社がこれまで手がけてきた産業用製品の開発技術を駆使したもので、是非とも大きな事業に成長させていきたい」と意気込みを語っている。