関東地区のFA・制御機器流通市場は、東日本大震災の影響を良くも悪くも大きく受けて、4~6月は前倒し発注から売り上げが大きく伸長した。しかし、7月以降サプライチェーンの回復とともに前倒し発注がなくなり、在庫が膨らんでいる状況となっている。ただ、昨年11月頃からタイの復興需要が動きだしており、再び上昇に転じている。
東日本大震災に伴う社会インフラ整備、都内を中心としたビルの新築・リニューアル投資などからゼネコンはもちろん、配電制御システム関係の仕事は能力を超えるほど受注が入っており、2年分の受注を抱えているという見方も出ている。FA・制御機器商社でも、この需要で売り上げを伸ばしているところも多い。また、節電対策により、省エネビジネスからの恩恵も受けている。LED照明、電力消費メーター、デマンドコントロール装置などがビル、工場を問わず設置する動きが強まっている。さらに、情報管理上のリスク分散の点からデータセンターの立地も活発で、関連機器の需要増も目立っている。
国内の空洞化対策が重要
今年はこうした復興需要と節電対策関連が市場を牽引していくことが見込まれているが、中長期的には国内産業の空洞化対策を行っていかないと、流通も淘汰される懸念が出てくる。
産業の裾野が広い自動車産業は、いま電気自動車やハイブリッドカーなどで充電器が注目を集めている。充電器を含め、こうしたエネルギービジネスは、工場はもちろん家庭まで巻き込んだ形での展開の可能性がある。ロボット関連の裾野も広い。産業用ロボット先行で拡大してきたが、サービスロボットの市場も、人手不足、危険、高齢化、品質の均一化などで今後大きな拡大が見込まれている。
こうした分野は従来と多少異なる部分もあり、営業や技術的な研さんも必要になる。あらためて社員教育を行うことで、独自な切り口での提案も可能になってくる。次の飛躍に備えた種まきのためにも、もう一度市場を分析して、特徴ある商材の選定と期待できる市場開拓に向けた取り組みを行うこともこの時期に必要と言える。