関西地区のFA制御機器市場は、全体的に落ち着いた状況で推移しているが、今年は東日本大震災の復興需要、政府が推進する電力システムの改革や再生可能エネルギーの導入加速、さらに省エネルギー推進が盛り込まれた「エネルギー需給安定行動計画」のアクションプランをビジネスチャンスとしてとらえ、期待する声が高まっている。
東日本大震災の影響は、関西地区にも大きなインパクトを与えた。
昨年の4月から6月あたりにかけて、被災地復旧に向けての復旧需要がものすごい勢いの受注になり、各制御機器メーカーや商社は製品の生産、供給で大混乱に陥った。しかし夏以降は復旧に向けての需要が一段落し、将来的な「復興需要」に期待する声が高まっていた。
メンテ需要が活発化
その後、長引く円高や欧州の財政危機、さらにタイで起こった洪水による工場被害などの余波が、関西の制御機器業界にもジワジワと影響を及ぼし始め、秋口あたりは一時期動きが鈍くなったが、タイの洪水で被害を受けた工場が再び稼働を開始し始めた昨年12月頃からは、メンテナンス需要などが活発化し、市場の動きも上向きになってきている。
加えて配電盤業界などは、昨年の震災の影響で中止や延期になっていた物件が秋口から復活し出し、昨年の秋以降、非常に忙しい状況となっている。
1月に入ってもこうした分野は堅調な動きを示している。さらに、ここにきてメーカー、商社とも今年中盤あたりから震災の「復興需要」が本格化すると予想しており、期待する声が高まっている。
加えて、今年は電力の買取制度が本格化する見込みで、この買取制度が盛り込まれた政府の「エネルギー需給安定行動計画」の中の具体的なアクションプランで、電力システムの改革や再生可能エネルギーの導入加速(供給構造改革)、省エネルギーの推進(需要構造改革)が重点課題になっており、同プランを推進することで配電盤関係を中心に、多くのビジネスチャンスが生まれてくると見ており、エネルギー改革に期待する声も出ている。
同プランは、「エネルギー規制・制度改革アクションプラン」というもので、卸電気事業の活性化や省エネ規制の徹底と強化、熱エネルギーの有効利用などがポイントとして挙げられている。
こうしたポイントをビジネスチャンスにつなげれば、例えば特別高圧分野や高圧分野にスマートメーターを導入することで、スマートメーターによる管理が可能となり、省エネやエネルギーの「見える化」につながる。また、HEMS、BEMSなどの分野にもスマートメーターの導入促進が可能になってくる。
業界の個別のテーマでは「省エネ」に加え、「創エネ」、「蓄エネ」などがクローズアップされており、これらのテーマに「見える化」を付加することで、さらなるエネルギーの効率化が推進できるとしている。こうしたことから蓄電池システムやエネルギー監視システムなどの需要が急速に増加しており、メーカー・商社とも対応する姿勢を強めている。
防災関連の提案を重視
最近では、企業が自然災害やテロなどの緊急時に損害を最小限に止どめ、事業の継続や早期復旧を行う「BCP(事業継続計画)活動」がクローズアップされており、防災を切り口に防災関連の提案を重視する商社も出ている。
また、メーカー機能を備えた商社では、ユーザーの要望に応え的確なソリューションを提供するために、自社製品の積極的な開発や販売などメーカー機能を強める動きや、関係の深いメーカーとの協業を深化・推進させ、ユーザーに最適なシステムを提案する動きも顕著になっている。