配電制御システムは、リーマンショックによる世界大不況で建物の新築投資、生産設備投資が減少し、生産が落ち込んでいた。とくに、建築絡みの受配電盤、分電盤は製造業の景気動向より2年ほど遅れて到来するため、昨年はリーマンショックの出口に差し掛かっているところであった。
しかし、東日本大震災により、復旧需要が急増し生産を押し上げた。
2桁増が続く
特別高圧・高圧配電盤は昨年4月以降、前年を上回る傾向にあり、とくに9月は26・8%増、10月が24・5%増、11月15・3%増と2桁の大幅な伸びが続いている。
低圧配電盤も6月16・8%増、9月46・4%増、10月35・5%増と震災以後に伸長している。
産業用分電盤は4月以降上昇傾向が続き、6月以後は前年比プラスで推移している。9月と11月はそれぞれ15・4%増、16・3%増と2桁の伸びを示している。
住宅用分電盤も4月19・3%増、8月1・6%増、9月8・7%増、10月1・5%増、11月2・4%増となり、8月以降は前年を上回っている。
監視制御装置は復旧投資の恩恵が最も少ないといわれ、5月に12・6%増加した以外は前年比割れが続いているが、復興や節電対策で今後の伸びが見込まれる。
その他の開閉制御装置は5月20・3%の大幅な増加を記録した。また、10月8・0%増、11月18・4%増加している。
受注環境は東北地方、関東地方が先行して好転している。
東日本建設業保証がまとめた最新の公共工事動向によると、17月は件数が前年比7・3%増の1万4636件、請負金額が同13・8%増の4382億円、保証金額は20・9%増の1749億円となり、過去10年間で件数と請負金額が7番目、保証金額で4番目となっている。
発注者別は、国関係では国土交通省が関東整備局、東北整備局などで増加。独立行政法人等は東京大学など国立大学で増加している。
都道府県では愛知、福井などで減少したものの東京、茨城などで増えた。市区町村では福島、宮城などで増加した。福島は川内村、郡山市などで増加し、宮城は栗原村、大崎市などで増えている。地方公社は宮城県道路公社などが増加。その他では社会福祉法人関係で伸びている。
工事場所では、東海が15・7%と2桁減少し、北陸でも2・0%と若干減少したものの、東北で47・6%の大幅な増加を示した。関東も18・0%の2桁の増加。甲信越は9・1%増加である。東北では福島、宮城が伸び、関東では東京、茨城が増加し被災地の伸長が目立っている。
配電制御システム市場はこうした動きと連動し東北を中心に、茨城、東京でも受注が活発化している。
今年は順次、中部、関西、九州など他の地域にも波及していくものと見られ、今後数年間は高水準の受注で推移するものと見られる。