IDECは、長年培ってきた制御技術と、近年注力している環境ビジネスの経験を生かし、太陽光発電システムにおける電力マネジメント事業に新規参入する。主に一般住宅や小規模業務施設用の太陽光発電システムを展開する太陽電池メーカーやハウジングメーカーなどに向け、パワーコンディショナなどの関連機器を販売するほか、モニタリングなど広範囲なサービス事業をトータルに展開する。4月1日から事業開始し、3年後に30億円の事業規模を目指す。 昨年の大震災以降、省エネ・節電への意識は急速に高まっており、再生可能エネルギーである太陽光発電システムの需要が増加している。特に一般家庭への導入については、政府の補助金政策や余剰電力買取制度が本格化するので、急速な市場拡大が予想される。
こうした状況下、国内の電機メーカーやハウジングメーカー、住宅設備業者、販売施工業者などの太陽光発電システムへの新規参入が相次ぎ、円高を背景に海外メーカーの参入も増えている。
一方、国内の厳格な技術基準を満たすパワーコンディショナなど電力変換・接続機器類を提供するメーカーは限られており、システム稼働の遠隔監視や発電・消費の状況をモニタリングする環境も十分とはいえない。
同社が開始する電力マネジメント事業は、太陽光発電用のパワーコンディショナ・昇圧ユニット・接続箱・モニターシステムなど周辺関連機器の販売と、クラウドシステムによる電力のWEBモニタリングサービスや、機器の異常などを自動監視するオンライン監視サービス、ユーザーの情報管理などを提供するもの。さらに、同社製品の延長保証として10年までの延長契約も可能(有償)である。
WEBモニタリングシステムにより、エンドユーザーはパソコンやスマートフォンで自宅の発電状況を見ることができる。
同事業はこのように電力マネジメントに役立つ広範囲なサービスを統合的に提供するもので、太陽電池メーカーやハウジングメーカー、住宅設備業者などシステムインテグレータなどに向け「BtoBビジネス」として事業の拡大と市場浸透を図る。
同社では新事業を開始するにあたり、専門の営業担当者を育成・配置するとともに、自然エネルギー分野での市場動向に迅速に対応するため、製品企画から開発・生産・販売までを一元化する新事業部を4月に設立する。
三笠洋補執行役員マーケティング本部長は「当社の技術を駆使し、電力における発電・消費・変換の3つの分野を効率化しマネジメントする事業として、大きく伸ばしていきたい。将来的にはあらゆる電力の効率化を目指したい」としている。