大震災復興関連向け制御機器需要は2桁前後の成長で推移している。受・配電盤、自家発電設備、太陽光発電設備、建設機械、環境装置などの生産が増加しているためで、この分野向け制御機器は今後数年間にわたり伸びが期待できる。制御機器各社は拡大する社会インフラ基盤整備関連市場に着目し、需要獲得へ営業強化に乗り出した。 制御機器の国内市場の約10%を占める配電制御システムは受注が大震災以降、増加している。産業用分電盤の生産は昨年5月から12月まで前年を上回って推移している。特別高圧・高圧配電盤は5月、9月、10月、12月が20%を超える大幅な伸び。その他の月も6月、8月以外は前年を上回っている。低圧配電盤も9月が46・4%増、10月35・3%増など拡大。来年度はさらに拡大が予想されている。
環境装置は昨年の受注額が5304億円、前年比8・2%増加した。大気汚染防止装置は30・2%の大幅増。水質汚濁防止装置は8・6%増、ごみ処理装置が3・1%増である。
日本産業機械工業会は2012年度の内需の受注を3兆1983億円、前年度比0・9%増加の見通しを発表した。民需ではとくに自家発電設備の増設、省エネ・省力化投資の増加を期待している。官公需は被災地復興のためにインフラ基盤の再整備、災害ガレキ処理の継続が見込まれる。
機種別では鉱山機械、ポンプ、圧縮機、送風機、金属加工機械などが伸長する見通し。
電力供給不安の中で、自家発電設備も大幅に生産が増加している。日本内燃力発電設備協会が行っている防災用自家発電装置適合マークの発行枚数は昨年急増した。全体で30%の伸びを示し、出力別では100kW以下が25%増、100kW超500kW以下46%増、500kW超1000kW以下29%増、1000kW超51%増と出力の大小にかかわらず伸長。
東京都は中小企業の自家発電設備・蓄電池導入費用を助成しているが、都内に限定してきた。2月からは都内の中小企業が東北各県などの事業所に設置する場合も補助するなど対象を拡大。助成制度により来年度も電力確保へ自家発電、蓄電池の需要は増加する見通しにある。
建設機械の国内出荷は今年度に続き、来年度も2桁増加が予測されている。
日本建設機械工業会の需要予測によると、国内出荷は今年度5443億円、前年度比29%増加。来年度も大震災復旧・復興のための政府建設投資の増加が見込めるとし、上期2741億円、前年同期比16%増、下期3317億円、同8%増の合計6058億円、同11%の増加を見込んでいる。
建設経済研究所の予測によると、今年度の建設投資は43兆8400億円、前年度比6・6%増。来年度は44兆8300億円、同2・3%増である。工場、事務所、倉庫、店舗など民間非住宅の建築着工床面積は、今年度5・2%増、来年度6・0%増加を見込む。そのうち、工場は今年度5・6%増、来年度7・5%増加である。倉庫は今年度25・6%増、来年度2・4%増。事務所、店舗も伸長する見通し。
制御機器出荷は昨年7月以降、前年割れが続いているが、インフラ基盤関連市場に限っては需要が旺盛で、平均2桁の伸びが続いている。この市場向け端子台、操作スイッチ、インバータ、温調器、タイマー、リレー、電磁開閉器などが、とくに伸長している。今年度も引き続き好調に推移すると各社は見ている。
受・配電盤での顧客が多いスイッチメーカーの中には「大震災以降、受注が好調で2期連続の増収」を見込んでいるところもある。
ある端子台メーカーは「売り上げが計画を上回る2桁増が続いている。来年度はさらに伸びる」と強気の見通しを示している。