オータックス(横浜市港北区新羽町1215、TEL045―543―5621、富田周敬社長)は、「PLAN115」の2年目に入る2013年3月期の連結売り上げを、66億円(前年度比6・5%増)に設定してスタートしている。売り上げ拡大と黒字体質を定着させるために、海外工場の生産自動化と分散化、DMMS(開発型総合メカニカル部品製造サービス)体制の強化を進めていく。
同社は昨年4月から「PLAN115計画」をスタートさせ、5年間で売り上げ100億円と利益10億円をコンスタントに達成する取り組みを行っている。初年度の12年3月期は、売り上げが62億円と前年度比25%減少したが、2年連続で黒字を確保、復配も行った。
主力工場である中国・深圳の中国オータックスとオータックス精機の生産自動化を進めたことで、「従業員数がピーク時の3000人から1200人と半分以下に減少しても売り上げを維持できており、人件費高騰の影響を避けられている」(富田社長)。また、昨年買収した無錫のねじ工場やマレーシア工場などにも生産を分散化して、一極集中によるリスク軽減策をとっている。無錫では、ねじの生産に加え、中国ローカルユーザー向けに端子台の生産も開始しており、従業員数も30人から100人に増員する。またマレーシア工場も同60人から100人に増やす。DIPスイッチは現在、月1300万個と世界トップクラスの生産能力を有しており、「生産キャパを拡大することでコストダウンを図り、競合他社に勝てる製品を販売できる。ねじの内製化で端子台についてもコスト的に有利となっている。今後は顧客の動向も調べながら、インド、タイ、バングラデシュなどでの拠点開設も考えていきたい」(富田社長)としている。
一方、EMS(製造サービス)に開発機能を加えて、顧客から製品コンセプトの提供を受けて、開発・設計から、部品調達、製造までを一貫して行い、提供していくDMMSでは、次世代型TVリモコン、プリンター用パネルユニット、充電端末、通信機能内蔵型心拍測定器、指静脈認証機器などを提供しており、「スイッチ技術で基盤を固め、DMMSでのメカニカル部品技術で展開を図る。CHC(セキュリティ、ヘルスケア、エネルギー、エンターテインメント)をキーワードに、スマートフォン関連にも接点を探していきたい」(富田社長)。
また、富田社長は「PLAN115計画のペースはスローダウンするが、着実に成果が出てきている。一歩ずつ前進しながら、全員営業体制でこれからも取り組んでいく」と今後への意気込みを語っている。