グローバル化の進展に伴い、社会の基盤をなすインフラ整備の国際ビジネス化が活発になっており、今後10年間で、数百兆円の巨大投資が行われるものと予想されている。
これまで日本国内では、高度な品質や技術を背景に、個々の製品輸出という形で国力をつけてきたが、今後はインフラ全体の開発・設計や、運営・維持管理、さらにアフターサービスなど、これらを一つのパッケージとしてインフラビジネスを考える必要性が出てきた。
特に、パッケージとしてインフラ全体を見た場合、個々の要素技術を結ぶインターフェイスの互換性向上や、関連の規格を作りそれを活用するという標準化戦略が重要になっている。
インフラビジネスの国際標準化を推進する、日本規格協会(佐々木元会長)では、2月27日に「インフラビジネスと標準化~海外展開の現状と課題」をテーマとするシンポジウムを、大阪市都島区の大阪リバーサイドホテル大ホールで開催し、約200人の聴衆を前に、各専門分野の講師が講演とパネルディスカッションを行った。
同シンポジウムは、インフラビジネスを標準化して規格を作り活用することが、今後、国際的にインフラビジネスを展開する上で、いかに重要であるかを議論するために開催されたもので、来場者は、国内の有識者による講演と、活発な意見が交換されたパネルディスカッションに熱心に耳を傾けていた。
なお、前述のシンポジウムでは、同協会田中理事長のあいさつのあと、「インフラビジネスと標準化における課題」について、京都大学経営管理大学院小林潔司院長が基調講演を行った。
次に、パネルディスカッションのイントロダクションとして個別分野の事例紹介があり、「鉄道の輸出の現状と課題」について京阪電気鉄道の岡秀敏鉄道企画部長、「水ビジネス国際展開の現状と課題」について大阪市建設局城居宏水環境担当部長、「スマートシティの国際展開への現状と課題」についてパナソニック本社R&D部門スタンダードコラボレーションセンター下地達也所長がそれぞれ説明を行い、小林潔司院長を司会にパネルディスカッションが行われた。