日本スペリア社(大阪府吹田市江坂町1―16―15、TEL06―6380―1121)の西村哲郎社長は、大阪国際会議場で2月22日に開催された知的財産戦略活用シンポジウム「『知財は苦手』じゃすまなくなってきた!」で講演を行った=写真。
このシンポジウムは、長引く円高やグローバル化への対応に苦しむ日本の中小企業に、知財戦略による経営強化に目を向けてもらおうと、特許庁、近畿経済産業局が主催した。
産官学の専門家の講演や知財で成功している経営者の体験談などを通じ、そのヒントを提供するとともに、行政の支援施策も紹介された。会場は中小企業の経営者や知財担当者など約300人が来場した。
同社は小規模企業でありながら、知財と海外展開をうまく結びつけた経営戦略で業績を伸ばしており、昨年度の「知財功労賞」を受賞した成功企業として招かれた。
基調講演のあと、知財で成果を挙げている中小企業として、同社の西村社長が自社の取り組みについて説明を行った。
講演内容は、まず同社の鉛フリーはんだ「SN100C」の開発と特許化への経緯、さらにマーケティングやブランディングなどの活動について紹介。知財については「ただ保有するだけでなく、海外の協力会社に積極的にライセンス供与し、事業をグローバルに拡大するとともに、利益を高めるためのものである」とし、同社の知財活用の仕組みについて説明した。
また、「中小企業にとっても海外への事業展開は避けて通れない」とし、語学などコミュニケーション力の重要性を強調。さらに、「知財の創造には高度な研究の場と大きな投資が必要である」ことを、同社と海外の研究機関との共同研究の例を挙げ説明した。
この後、参加者6人によるパネルディスカッションが行われ、西村社長は、特許をスムーズに取得するためのポイントの重要性を指摘したほか、行政への要望として、すでに特許登録済みのものかどうかの確認が開発前にできるなど、専門知識を要する相談に乗ってもらえる知恵袋の必要性などを訴えた。