機械安全と製品安全の推進に取り組んでいる「機械安全ソサエティ(JASMAS)」の活動が3年目に入った。安全対策の促進へ中小企業でも負担できるように、活動費用を抑えながら、ユーザーメリットの最大化を狙っている。欧米に比べ遅れ気味である日本の機械安全対策向上に向け、成果が注目される。 JASMASは2010年1月に設立された。大学、公的機関、認証機関、コンサルタント、メーカーなどと連携しながら、労働災害の撲滅への貢献を目的としている。労働災害のうち、製造業は約30%を占めているが、非製造業の事故が減少傾向にある中で、製造業の労働災害は減少を見せていない。その要因のひとつに、食品産業の事故率上昇があるといわれ、直近の調査でも25%から29%に増加しているといるとデータもある。食品や印刷などの業種は中小・零細企業が比較的多く、安全対策が遅れているということも、この背景にある。
JASMASではこうした、なかなか安全対応ができづらい業種を中心に、費用負担を軽くしながら安全対策を進め、事故率を下げる取り組みを行っている。
そこで、機械安全のエキスパートとなる安全技術者の養成を、機械の使用ユーザー、安全機器メーカーの双方で進めることで、ISO/IEC規格に基づいた認証業務を代行できる仕組みを目指している。これによって、認証工数の低減と効率化を図ることができる。安全技術者の養成に当たっては、認証機関とも連携していることで、作業的な重複を避けることにもつながる。中小の事業者が多い食品加工機械と、食品産業での安全対策の向上が期待される。
安全技術者の養成セミナーは現在7コースを設けており、会員は受講料が割引となる。
日本ではまだ欧米並みの罰則の伴う機械安全対策の法制化が取られていないが、JASMASでは最終的には国際水準並みの法的整備を進めることで、労働災害の減少と粗悪機械の流通阻止、さらに産業の振興にもつながるとして、取り組みを強めていく方針だ。
JASMASの事務所は、東京都千代田区丸の内1―8―3、丸の内トラストタワー本館6F(UL
Japanセミナー・AS課内)。TEL03―5293―6623、FAX03―5293―6621。