ワイヤレス伝送装置への関心が高まっている。機器間の配線作業が不要になることで設置時の制約がなくなることや、レイアウト変更などにも容易に対応できることが評価されている。スマートフォンなどの携帯機器の普及でワイヤレス機器と一体となった運用システムの導入もしやすくなっていることも大きな要因と言える。環境耐性も向上しており、さらに普及が進みそうだ。 機器間の通信には有線が主流となって使用されているが、通信ケーブルの配線作業の手間や、ケーブルそのものの配線場所に困っている用途も多い。ワイヤレス伝送はこうした課題を解決するものとして以前から使用されていたが、ここに来て評価を高めている。
ワイヤレス伝送システムとして、光伝送装置やブルートゥースなどが一般的に採用されている。光伝送装置は、光によって情報伝達やデータ送信を行う装置・システム。基幹ネットワーク向けやメトロネットワーク向け、CATV・映像信号向け、構内・社内向け(シリアル信号やLAN)などがある。光ファイバを使い、40Gbpsの伝送速度・数百キロメートルの長距離伝送距離などが実用化されているが、赤外線を使って空間を伝送する空間光伝送装置も需要を伸ばしている。
通信方法も、イーサネット対応タイプ、パラレルタイプ、シリアルタイプ、CC―Link対応タイプなど、各種ネットワークに対応した品ぞろえを行っているメーカーも多い。
また、高赤外線通信により200メートルという長距離のワイヤレスLAN化を実現。10Mbpsの光伝送で工場内や防犯カメラのデータなどをスムーズに通信する。パラレルタイプは、従来機種に比べ小型・軽量化が進んでいるほか、投光量調整により伝送距離への対応を容易にしている。
シリアルタイプは、軽量化を実現するとともに、光軸合致灯により光軸合わせを容易にした。全二重双方向伝送が可能で、立体自動倉庫におけるスタッカクレーンや、天井走行クレーンなどに採用されている。
CC―Link対応タイプは、最大112点、16ワードとデータ量の多い通信ができる上、1台のマスタユニットに最大42台まで接続可能という特徴を持つ。
一方、各種センサで取得したデータをPCや装置へ転送する場合、ケーブルでつながれていると何かと不便。特に動体に取り付けることが多い加速度センサは、有線の場合PCや装置へデータを送る際、動きに制限が出る。これをブルートゥースで無線化することで、動きに制約なくセンサ情報が得られる。例えば、自動車をメンテナンスする際、エンジンルーム内の音や振動データをチェックするが、エンジンルーム内は複雑でいろいろな部品が密集し、有線の場合センサを設置するのは非常に大変だが、センサを無線化し配線の手間を簡略化することで、同時に7台までPCへデータ転送が可能になっている。
また、ワイヤレス通信で報知機器を制御するコントロールユニットは、特定小電力無線の採用で長距離通信が可能なほか、信頼性が大幅に向上し、採用が拡大している。
最近では防水加工することで屋外使用が可能となり、屋外での採用も増えている。例えば、河川敷に設置し河川の水位が上昇した場合、岸辺に設置した警報機を鳴らして危険を報知するといったシステムに採用されており、ワイヤレスデータ伝送の可能性が拡大している。