「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)の一部を改正する法案」が閣議決定され国会に提出された。政府では今国会で成立させる予定で、2013年4月の施行を目指している。
同法案は、国内においてエネルギー需給の早期安定化が不可欠であることから、供給体制の強化に万全を期した上で、需要サイドが持続可能な省エネを進めていくために必要な措置を講じるものである。
同法案の背景として、国内の経済、産業を維持・発展させていくためには、エネルギー需給の早期安定化が不可欠である。供給体制の強化を図った上で需要側に対し、普及が進みつつある蓄電池やエネルギー管理システムなどを有効に活用し、電力ピーク対策を円滑化することが狙い。
加えて、近年は業務分野や家庭など民生分野において、エネルギー使用量が増加傾向にあることから、産業分野だけでなく民生分野でも省エネルギー対策を一層進めることを提唱している。
同法案の概要は、電力ピーク時の工場や輸送関係などの需要家側における対策と、建築材料などに係わるトップランナー制度の2点。
電力ピーク時の工場など需要家側における対策では、需要家が従来の省エネ対策に加え、蓄電池やBEMS・HEMSなどのエネルギー管理システム、自家発電、蓄熱式の空調、ガス空調などを活用することで、ピーク時の系統電力の使用を低減する取り組みを行った場合に、取り組みが評価される体系にする。
これに対応し、制御機器メーカーでは、ピーク時の電力カットから電気料金の削減を推進するために、デマンド監視・管理による使用電力のコントロールを提案している。
トップランナー制度は、エネルギー消費機器の製造・輸入事業者に対し、3~10年程度先に設定される目標年度において、高い基準(トップランナー基準)を満たすことを求め、目標年度になると報告書を提出し、その達成状況を国が確認する制度。
従来のトップランナー制度は、エネルギーを消費する機械器具が対象だったが、新法案では今後、このほかの建築物や機器などのエネルギー消費効率の向上に資する機器を新たにトップランナー制度の対象に追加するもの。
建築物とは、窓や断熱材、水回り設備などの建築材料などで、企業の技術革新を促し、住宅・建築物の省エネ性能の底上げを図るものである。これにより、民生分野での省エネ対策を推進させる。