サーボモータメーカー各社とも、使いやすさに重点を置いた製品開発に意欲的に取り組んでいる。
複雑な制御調整が簡単にできるオートチューニング機能、機械の振動を抑えながら短時間で位置決めを行う制振制御技術、作業の安全を確保するセーフティ制御技術、さらには効率的な生産を進めるネットワーク化対応などが主なポイントになっている。 オートチューニングでは、ワンタッチで機械の共振抑制や制振制御などにも対応できるように、サーボモータ各社が独自の機能を競っている。例えば制振制御技術では、アーム先端の振動に加え、装置本体の残留振動も抑制できる低周波抑制アルゴリズムで、さらに高精度な調整を可能にしている。
高速化では、速度周波数応答2・5kHz、22ビットロータリーエンコーダーの標準搭載で400万パルス/revを超える高分解能製品も登場しており、位置決め整定時間を大幅に短縮し、高精度な位置決めや微細加工を可能にしている。整定時間を短縮することは、業務の効率化につながり、機械・システムの生産性が向上する。ネットワーク対応では、Ethernet技術をベースに、通信速度100Mbps全二重の高速独自ネットワークを駆使し、リアルタイム通信性能や、自由度の拡大を図った最新の製品も登場している。
セーフティ化への対応も著しい。サーボドライブで関連する規格としては、ISO13849―1、IEC61508シリーズ、IEC62061、IEC60204―1、IEC61800―5―2などがある。このうちIEC60204―1は、機械の電気装置に関する要求事項を定めた規格の1つで、停止の制御機能について定義している。また、IEC61800―5―2は、可変則電力ドライブシステムの安全要求事項を規定している。現在はこの2つのセーフティ規格を搭載したサーボモータが発売されているが、各社とも国際標準化に準拠したセーフティ機能拡充へ、今後も開発を継続している。
一方、防爆ではATEXの新防爆基準に対応し、小型・軽量でコンパクト化したACサーボモータが標準で発売されている。そのほか、厳しい環境下でも使用できるよう保護構造IP65などを標準採用したタイプやIP67対応品も増えつつある。
「オールインワン・サーボモータ」として、ドライバ、エンコーダ、モーションコントローラ、シーケンサ、ネットワークまでを1台に収納した製品は、配線作業が不要で、省スペース化にもつながり、トータルコストダウンにも貢献できる。