専業メーカーではリーマンショック以降、積極的な営業展開を行っているメーカーが多く、新規に販売代理店の獲得など販売ルートの拡大を図っている。特に首都圏の営業拡充や地方の主要都市での拡販を積極的に推進しており、大手の新規顧客開拓につながっている。
物流体制の整備、ネット販売の進展などの観点からも、全国的な販路展開に取り組むメーカーが増えている。特に、市場の大きい首都圏は関東以外のトランスメーカーにとっても重要な地域で、営業所などを強化するとともに地域に強い商社と販売提携し、営業活動を活発化させている。
特に今年は夏以降、地震の被災地を中心に、復興需要が本格化すると予想されており、メーカーでは情報の収集を進めている。
さらに、ここ数年は産業用トランスに関してユーザーから特注品、カスタムメイドに対する要求が強まっている。メーカーでは標準品販売と別の形で特注に対応する姿勢も強化している。特注品は、組み込む機器・装置、設備に合わせて容量、サイズまで特別に製作するため、トランスメーカーにとってコスト、納期面での負担が大きいと言えるが、あるメーカーでは、小型から大型のトランスまで一貫生産ができる最新鋭の機器を導入し、コストの低減と納期の短縮化を図っている。
一般的に大型トランスは産業用途での採用が多く、使用分野・製品ごとに仕様が異なるため、多品種少量生産対応が可能な専業メーカーによって供給されている。また、大型を中心とする産業用トランスは重量が重いので、輸送コスト面から、ユーザーに近いところで生産する地域密着型での製造・販売が主流となっている。
一方、環境対策への取り組みでは、各メーカーともRoHS指令対応製品の投入をほぼ完了しているほか、UL、CAS、TUV、CEマーキングなどの海外規格取得が進んでおり、ほとんどのメーカーが海外規格対応品をラインアップしている。
トランスの環境対策は、このほかリード線、銅線、梱包材などでも求められている。リード線や銅線関係は、ケーブルメーカーが環境対応を図っており、トランスメーカー自身はそれを証明するだけで済む状況となっている。