Fa市場の国内での拡大が厳しい中で、FA制御商社はリーマンショック以降進めてきた財務体制の強化策を転換、東日本大震災を機に動き出した社会資本再整備、産業の移動に合わせ事業領域と営業エリアの拡大に乗り出した。商社の勢力図が変わる可能性も指摘されている。
製造業の淘汰、海外移転が進む状況に対し、FA制御商社はLED照明やエンジニアリング機能強化など新商材と事業領域の拡大で、淘汰が懸念される流通業界での生き残り策を講じてきた。昨年の大震災で社会新資本の構築、企業立地の条件緩和が進み、FA制御商社もこうした構造的変化への対応も加味して、意欲的な営業エリアの拡大に向かい始めた。
関西地区では、サンセイテクノスが昨年5月に名古屋支店を開設し、中部市場に進出した。
また、地盤強化へ京都支店を移転、今年4月にはレックをグループ会社に加え、グループ技術スタッフを43人に増強している。
東海地区では、中西電機工業が西尾サテライトに続き今年3月に浜松サテライトを開設し、静岡県に初めて拠点を設けた。従来のショールームにサテライトを加え販売ネットワークを強化。
九州地区では、八洲産業が首都圏営業を強める。5月に東京営業所を支店に昇格させ、顧客の東京本社での集中購買に対応する。
すでに全国に営業拠点を持つ商社も前向きな投資に舵を切りだした。
因幡電機産業は、今春から東京本社を開設し、人材や資金を投入し東日本地区の売り上げ増加を図る。
明治電機工業も4月から東京支店(町田市)を移転して、新東京支店(横浜市)と西東京営業所(八王子市)に分割した。関東地区の主力市場である神奈川と多摩地区での営業効率向上と強化が狙い。また同社は、専用機の設計・製造・アフターサービスの一貫体制構築へ子会社エム・ディーマシナリーを設立している。
スズデンも4月から本社内にメディカル営業所を開設、安定した市場が見込める医療関連分野開拓を強める。
こうした国内市場の変革に対応した動きとは別に、高木商会は海外市場に目を向け香港に100%の子会社を設立した。日系企業の中国進出に伴うもの。
FA制御商社は、本紙推定で全国に1000社以上ある。リーマンショック以降、各社とも売り上げ減少による固定費負担増加で財務体質が脆弱になり、新商材の発掘と同時に同業者間で営業権買収などの再編が行われている。既存の営業エリア確保のほか、他地区進出への足掛かりや実際の拠点開設により、勢力図の変動が起こりそうだ。