電気設備の技術基準解釈の改正、内線規定の改定に伴い、共用接地と等電位ボンディングが導入された。
これにより、従来の個別接地が抱える電気設備間の電位差を解消し、感電事故や雷被害を軽減する効果が期待できるようになった。
これに伴い、等電位ボンディング部材やSPD(サージ保護デバイス)の需要が急激に増加することが予想される。
電気設備の技術基準解釈の改正は、2011年7月に公示、10月から適用が開始された。特に電路の絶縁及び接地に関して、第18条の工作物の金属体を使用した接地工事の新しい解釈として第1項に「共用の接地極と等電位ボンディング」が規定された。
さらに、特高または高圧の金属製外箱に行う接地工事の接地線に、1線地絡電流が流れた場合、建物の柱・梁・床・壁などの導電性部分間に、50V以上の接触電圧が発生しないよう、建物の鉄骨・鉄筋は相互に電気的に接続することとしている。
ビルの壁や床などで危険な接触電圧を生じさせないためには、鉄骨や鉄筋同士が電気的に接続されている必要があり、電気的な接続が確保できない部位については、追加配線やクランプなどを用いて連続性を確保する必要がある。
積極的に電気的接続を確認する場合は、ダブルブリッジ測定器を用いて確認することになる。さらに、電力線や電話線、信号線などの充電線は構造物に直接接続すると、短絡や漏電を招く。このように直接ボンディングできない箇所は、SPDを用い接続することになる。
一方、内線規定は11年12月に改定され、12年2月に発効された。特に系統連携型小出力太陽光発電設備施設に加え、系統連携型小出力燃料電池発電設備施設、電気自動車用普通充電回路施設が内線規定に加えられた。
なお、雷保護装置の規格や取り付けは継続となった。
雷保護の基本は等電位化で、等電位化を確保するために、鉄筋など金属製構造体を接続用クランプなどで電気的な接続を行い、等電位化する必要がある。
さらに、前記の充電線など直接接続できないものについては、SPDを用いてボンディングしたり、電気防食を行っているガス管は、電圧が課電されているので、絶縁ギャップ式SPDを用いてボンディングする必要がある。
今回の省令の改正・改定により、建築物の等電位化と共用接地が普及するものと予想されるが、等電位ボンディングと共用接地の活用で、感電事故や雷による被害の防止に効果が上がることが期待される。