配電制御システム業界の今年度生産高は、前年比5%前後の伸びが予測されているが、中期的にも安定成長が期待されている。電力供給の再構築と電力消費の効率化が配電制御システム業界の今後の成長を約束するといえる。
受配電盤で復興関連需要やスマートコミュニティ、再生可能エネルギーの増加により、今後も伸びが見込めるほか、制御盤でも省エネルギーに関するビルや工場、生産機械などの監視制御関連が成長する。こうした需要の取り込みには配電制御システム自体の技術革新も求められている。今後数年間は、市場の拡大と技術開発が好循環する軌道に乗せられるかどうかの重要な期間となりそうである。
2000年のITバブル崩壊は、産業界の設備投資減少をもたらし、配電制御システム業界にも影響を与えた。
2003年から生産額は回復に向かい、2008年9月のリーマンショックまで順調に推移していた。世界同時不況により2009年に落ち込んだものの、その後は別表の通り堅調に生産を増やしている。
今年度はさらに生産拡大が見込まれている。
日本電機工業会の今年度生産予測では、特別高圧・高圧配電盤が1253億7000万円、低圧配電盤が718億3100万円、産業用分電盤が585億6600万円、住宅用分電盤が301億8700万円、監視制御装置が2553億3600万円、その他の開閉制御装置が1116億8700万円としている。
配電制御システムは、社会インフラから産業界の設備まで幅広い分野で使用されているため、わが国の社会インフラ再整備は需要増加の大きな要因になる。
大震災復興は土木工事が始まり、新しい街づくりへ動き出した。配電制御システム業界は、今年度末から受配電盤の需要につながるといわれている。
また、電力の需給ひっ迫による対策や再生可能エネルギーの普及がもたらす発電の分散化も好影響をもたらすものと見られる。
監視制御装置もまた、省エネルギーの見える化で先行き需要増加が期待される。
市場の拡大に伴い、受配電盤、制御盤ともシステム化の方向に向かう。電気量の配分・制御の役割に通信技術が盛り込まれ、新たな機能の付加が求められるようになるものと予測される。
また、設計・製造から据え付け工事、メンテナンス分野まで対応を迫られる。総合技術をもともと備えており、その技術を開花させることで将来の展望も開かれる。先行き見通しの良い時期に、次世代に対応できる体制も必要とされる。