PDのグローバル市場は1800億円前後と推定され、このうち日本メーカーのシェアは約30%と見られる。海外生産の増加で競争力が高まればさらにシェアアップが見込める。工作加工機械、食品・包装機械、半導体・液晶製造装置、ロボット・組立機械、搬送機械、自動車周辺分野などPDの用途は日本が比較的強いところが多く、さらなる伸長が期待できそうだ。
機能的には、バックライトにLEDを採用し、消費電力の低減化や水銀レス化が進んでいる。特に欧州は環境に敏感な地域で水銀規制が進んでおり、LED化を加速させる要因となっている。
初期の頃は、単なるスイッチや表示灯を代替する表示的機能のみのPDであったが、最近では情報端末として、さらにPLCや温度調節器など各種の制御機器をコントロールするところまで機能が拡大向上している。
PDは数年前までPLCとコミュニケーションすることがメーンで、PLCの先にある各制御機器からの伝達量が少なかったが、最近では、PDと各制御機器をI/O制御で通信接続し、各制御機器と直接コミュニケーションを図ることで、各制御機器の情報をより多く見える化、活かせる化することに成功している。
これにより「エラー・ステータス・位置情報」などの有益な情報を膨大に伝達することが可能になった。同時に「PLCを使わないと位置合わせや機器調整時の連続運転ができない」、「トラブル時の内容把握に時間がかかる」、「簡単な現地調整でも、情報を一つ一つPCでコントローラへ書き込みするので効率が悪い」、「システム全体の稼働状況の把握が難しい」といった様々な課題が解決されている。
従来は大型や中型の表示器にEtherNetを標準搭載し、大型装置のネットワークに接続することで副操作盤として機能させ、作業の効率化が図られてきたが、最近では小型タイプの表示器でもEtherNet通信機能を標準搭載し、主操作盤から離れた場所にある温度調節器やインバータなどの機器の近くに副操作盤として増設し、現状確認や設定変更などに要していた時間や手間が削減できるようになった。
表示素子、表示方法も高機能化し、5インチクラスの小型機種でも6万5536色の色鮮やかな表示が可能で、高精細データや写真・動画など鮮明で見やすい画面表示を実現している。ビデオ画像表示もでき、監視カメラなどによるラインの状況を映すことも可能である。
作画ソフトをバージョンアップし、ユーザーインターフェイスの向上を図るとともに、作画時間が短縮できる検索機能や、データコンバート機能を充実させたタイプが伸長している。