食品・医薬・化粧品の3品業界も、トレーサビリティの徹底化や、安全な製品を提供するための工場の「見える化」が進んでおり、表示機器の大きなアプリケーションに成長している。食品向けトレーサビリティ対応生産時点情報管理タイプは、タッチパネル付き表示器でポカミスを軽減し、工程ごとへの部分導入ができ好評である。このうち食品業界は比較的単純で小型の機械が多いことから、PDよりは押しボタンスイッチなどを使った操作盤が多かったが、PDの機能向上や高輝度・カラー化、低価格化などから置き換えが進んでいる。業界全体での使用台数が多いだけに、PDに置き換えが進んでいくことで、大きな市場になりそうだ。
また、印刷機械などでは、操作用スイッチ、PD、パソコンの3つの操作機器を併用して使用することで、簡単な操作、色合わせなどの複雑な操作を使い分けるといった機能分担も行われている。
一方、前年を下回った外需であるが、中国を中心とした新興国での表示機器需要が依然として拡大している。ただ、円高に伴う競争力低下や、台湾など新興国メーカーとの販売競争も激しくなってきており、PDメーカーの中には機能を絞って競争力を高めた新興国機種を投入する動きも活発化している。同時に、地産地消の視点から、海外での生産を強化したり、新たに海外生産を始めたりするメーカーが増えており、今後もこの傾向はますます強まりそうだ。