大震災をきっかけに工場の国内外への分散化が加速しているなかで、生産技術者の間で設備や機器との接続方法を統一化する傾向が強まっており、フィールドオープンネットワークへの関心が高まっている。現在、各種のオープンネットワーク方式が存在しており、その選定判断に苦慮する生産現場が多い。こうした状況を受け、各標準化団体は協力して採用メリットを訴求する展開を進めている。
工場内の自動化が進展するにつれ、設備と機器間でデータ交換量が増加している。ただ、設備と機器、機器同士などで通信方式がマチマチであるための不便さが高じ、接続がスムーズにつながるオープンなネットワークが普及している。
この十数年の間に、オープンネットワーク団体も多数発足し群雄割拠の状況にある中で、生産技術者は標準方式の選定に苦心しているが、昨年の大震災を機に、簡単に効率よく安定して通信できるオープンネットワークの採用機運が高まってきた。
日本の製造業は事業継続の視点からリスク分散へ国内の工場の分散化、新興国への生産シフトを余儀なくされているためである。
他方で、生産管理者はオープンネットワークを使うことにより、設備や機器が日本から海外へ、海外から日本に来ても接続が容易に行え、遠隔地からリモートコントロールが簡単にできることは理解しているが、多数の標準方式から選択する材料集めに忙しい。
こうした意向を受け、標準化10団体が協調して、7月に東京と名古屋で展示会とセミナーを催す。
この展示会「産業オープンネット展2012」にはEtherCAT
TechnologyGroup、FTDグループ、ODVA、CC―Link、セーフティネットワーク、AS―i、JEMAネットワーク、プロフィバス、HART、MECHATROLINKの10団体と企業がネットワーク対応機器のデモを行う。
会場で、実際に機器を接続し通信を実行させるエンジニアリングデモも行う。
また、11月には隔年開催のMOF(マニュファクチャリング・オープン・フォーラム)も開催される。標準化団体や学術団体が発表とディスカッションを行い、ユーザーとの交流を図る。
これら標準化団体の普及活動は、ネットワーク採用検討企業にとっても比較検討するうえで参加の価値は大いにありそう。