IDECは、タイに新しく生産会社と拠点を構築、2013年1月から本格稼働させる。16年度に生産規模20億円を目指し、数年後に海外での売上げを2倍に引き上げる。同時に原価率の低減を図り50%を目指す。新拠点は拡大するインド及び東南アジア市場への生産・販売拠点として機能を持ち、北米や日本への輸出も加速させる。
同社は、12年度の重要課題として、加工部品の海外生産移管の拡大、国内生産品目の海外移管、新しい海外生産拠点の立ち上げ、電子部品/製品の海外調達などを挙げており、こうした施策を推進することで、円高状況下でのトレードバランスを取ることを目指している。同社の海外の生産拠点は、中国の蘇州和泉電気、台湾の台湾愛徳克に次いで3カ所目。
タイの新生産拠点「IDECアジア(タイ)」は、資本金1億5000万タイバーツで、同社が100%出資。
設立は今年4月で、社長にはIDEC常務執行役員北山英幸生産本部長・生産技術センター部長が就任した。
生産拠点はタイ・サラブリ県ヘマラートサラブリ工業団地で、営業拠点はバンコク市内に置く。工場の敷地面積1万7245平方メートル、延べ床面積3450平方メートルで、13年1月から量産を開始し、主にスイッチやリレーなど、機工系の機種の生産から開始し少量多品種の生産に対応していく。
蘇州和泉電気と生産連携しながら、国内の生産拠点である滝野工場(兵庫県加東市)、福崎工場(同神崎郡)で生産していた製品の移管も行い、1~2年内に国内と海外の生産比率を各50%にする。
同社は、11年度の売上高325億円に対し、原価率は55・7%となっている。現在、平均売価の低いアジア地域での売上げが伸びており、同社ではタイの新生産拠点稼働により、原価率を50%まで下げる。
また、同年度の輸出実績は40・7億円、輸入実績は18・8億円で、21・9億円の輸出超過になっており、タイの生産を本格化することでトレードバランスを取り、円高に影響されない経営体質を目指す。
このため、蘇州和泉電気、台湾愛徳克の現地調達と現地生産の拡大、現地販売の促進を図る。蘇州和泉は同年度の現地調達率が82・7%に達しており、今後、限りなく100%に近づける。
販売面では、現在同社の中国と東南アジアにおける売り上げは50億円弱であるが、今後は現地販売促進を図り、数年後に海外の売上高を2倍に引き上げる。タイでは、30年前から現地の代理店を通じ販売を行ってきたが、バンコクの営業拠点を13年の夏か秋に本格化させる。
タイの新生産拠点の立ち上げに伴い、蘇州和泉電気は中国をマーケットエリアに、同市場を中心とした生産拠点として、台湾愛徳克は電子部品のグローバル生産拠点として機能させ、汎用金型製造・金型技術拠点としての機能を強化する。