ザゼンソウは、肉穂花序と呼ばれる器官の発熱で周囲の雪を溶かし早春に花を咲かせる多年草である。
氷点下など外気温の変化にもかかわらず発熱、外気温を検知し体温をほぼ20℃に維持することができる、ムダのない発熱機構はまさに省エネルギーの見本といえる。
このザゼンソウの温度制御アルゴリズムに着目した岩手大学とチノーは、その機構を解明し用いた温度調節計を世界で初めて開発した。
従来の制御アルゴリズムで動作する温度調節計に比べ、制御量をムダなく敏速に設定値に到達させることができ、高い堅牢性と高い省エネ特性を両立させた性能を備えている。
チノーはザゼンソウの特性を制御アルゴリズムに組み込んだZ制御モードの温度調節計「DB1000Z」=写真=を発売したが、半導体制御装置、金属熱処理炉制御装置、恒温恒湿槽・制御装置、化学反応釜、空調設備などの省エネ、オーバーシュート抑制に大きな成果を挙げ、生物の代射機能を工業化した成功例として大きなインパクトを与えている。
ザゼンソウ制御は、制御量の変化から、その到達値を予測し制御を行い、最適な操作量を出力するアルゴリズムであるため、設定時間を保ちつつオーバーシュートを抑制する。
また、制御対象の熱的特性をとらえてそれぞれに適した操作量を出力するため、無駄なエネルギーの投入が避けられ高い省エネ効果が得られる。
急激な温度の変化に対しても、予測制御機能により過度な出力を行わず安定した制御が可能である。こうした特性を生かすため、同社では用途と適用分野の拡大を図っている。
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