安全対策機器関心一層高まる 12年4月労安衛生規則で新通達 製造業以外にも広がり

製造業において機械安全対策への取り組みが年々強化されている。厚生労働省が発表した2011年(1~12月)の労働災害事故による死傷者数は、全産業で前年比3・3%増の11万4176人となっており、ここ数年、増加傾向が続いている。こうした状況を受け、各企業では機械安全対策における取り組みを強化している。現場で働く人の安全意識の向上とともに、ミスなどにより誤操作をしても事故が防げるような装置やシステムの導入を図っている。夏以降に向け、東日本大震災からの復興需要も見え出しており、改めて安全対策機器への関心が高まっている。業界団体では、日本電気制御機器工業会(NECA)が、安全関連事業のさらなる展開として、新たな資格制度「制御盤設計安全分野」(仮称)創設の検討に入っている。一方、製造業以外でも防犯・防災や情報セキュリティ分野、介護分野、さらにアミューズメントなどの分野でも安全対策意識が高まっており、安全対策機器の需要が広がりを見せている。
国内における労働災害死傷者数は、厚生労働省の統計によると、11年は震災も含めると産業全体で前年比3・3%、3590人増加の11万4176人となっており、震災を除いた死傷者数でも11万1349人となっている。うち製造業だけを見ると、震災を除いて2万3589人で同2・4%増となっており、ここ数年の増加傾向が改善されていないことがうかがえる。

従来、労働安全に関する意識は欧米の方が高く、日本の機械安全対策は遅れていたが、01年6月に厚生労働省から出されら「機械の包括的な安全基準に関する指針」によって、大きく流れが変わった。

罰則規定はないものの、製造業の安全対策の重要性を認識するきっかけとなった。

残留リスク情報の提供求める

06年4月に労働安全衛生法が改正、安全対策に関する記述が追加され、リスクアセスメントと必要な安全対策措置が努力義務と定義付けられた。

そして、今年4月1日からは、改正労働安全衛生規則第24条の13として、厚生労働省は、機械を譲渡または貸与するものに対し、「機械に関する危険性等をその機械の譲渡または貸与を受ける相手方事業者に通知すること」を努力義務化する指針を通達として出し、施行・適用された。つまり、機械の譲渡者または貸与者が使用事業者に残留リスク情報を提供することを求めたもの。

残留リスク情報とは、(1)製造等を行う者による機械からの危険リスクを低減するための保護方策で低減できなかったリスク(2)機械を労働者に使用させる事業者が実施すべき保護方策(安全防護、付加保護方策、労働者教育、個人用保護具の使用など)などをいう。

機械安全対策を進める上では、機械の使用者によるリスクアセスメントは絶対必要であるが、機械の使用者がその機械に関する危険情報(残留リスク情報)をあらかじめ知っていないと、適切で有効なリスクアセスメントを行うことが困難になる。従って、機械ユーザーには残留リスクの情報を常に提供していくことが、労働災害の発生防止につながる。

世界共通の安全ルール必要

日本の生産現場では、熟練作業者の減少とともに、パートタイマーや派遣労働者、言語・文化の異なる外国人作業者の増加などで生産形態が変わりつつあり、世界共通で誰でも分かる安全ルール・対策の導入が必要となっている。

日本の安全対策関連機器の市場規模は、日本電気制御機器工業会(NECA)が会員を中心に生産統計をまとめており、11年度は7・4%増の233億円と、過去最高となっている。特に国内市場は10・8%増の170億円と10年度の過去最高を更新した。

この結果、NECA全体出荷額に占める安全対策関連機器の比率も4・4%と前年度よりさらに高まり、これも過去最高になっている。

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