9.社団法人化20周年記念事業
(1)記念式典と祝賀会
2002年(平成14年)11月12日、東京の虎ノ門パストラルで、「感謝・連帯・展望」をコンセプトに、JSIA設立20周年記念式典、記念講演会および祝賀会を実施した。
この時は、実用的でかつ業界の地位向上に役立つ『受配電・制御システムハンドブック』を刊行した。
(2)受配電・制御システムハンドブック
当時の会長であった石原勇氏は「昭和50年代までは受配電設備に関する技術書を書店で散見できたが、現在は見当たらない。しかも、当時の書籍は発注者、需要家を意識したものでなく、市場の大部分の受配電設備を生産し責任を有する我々専業メーカーが記述したものでもなかった」と出版の決意を述べている。
構想から10年、編集に2年半。執筆は会員企業を中心に電気工事会社、設計事務所など60数名が担当した。
また、電力技術の権威である東京大学名誉教授の河村達雄先生が監修された。
現行製品や新エネルギー設備、高調波、無停電設備などの新技術を含め、配電盤に関するあらゆる情報が網羅されている。
最大の特徴は、発注者・需要家を意識した点で、高圧・特別高圧受配電設備の具体的実施例を示すとともに、「JSIA優良工場」も紹介している。顧客が計画・設計・補修する際、または配電盤メーカーを選択する際の指針として活用されている。
10.制御・情報システム部会の発足
(1)制御盤部会の発足
PLC(シーケンサー)、TP(タッチパネル)、PC(パソコン)などによるインターネットや携帯電話、携帯端末など通信機能、あるいはIT関連技術を駆使した制御盤・制御監視システムなどの業界における比重が高まりつつあることを受け、2004年度(平成16年度)から会員の中のいわゆる制御盤メーカー(制御・情報システムメーカー)に対する支援強化を模索してきたが、2005年(平成17年)に制御・情報システム部会(制御盤部会)を発足させた。
(2)制御盤部会の活動
部会では、制御・情報システムメーカーに対する支援強化を目的とした技術セミナーを毎年開催している。
また、技術的課題解決のための調査研究を行っている。これは制御盤製作における技術的な課題について会員企業にアンケート調査を行い、その結果をもとに制御盤の配線・接続合理化のための機器部品を調査し、組立配線・組立加工省力化及び設計効率化に資するための研究を行うものである。
2011年(平成23年)はネジレス接続方式の製品を抽出し、省力・省コストの効果を実証するための実験も行った。
これらの成果としては2008年(平成20年)に『やさしい国際標準PLC』、2012年(平成24年)に『端子台接続方式の違いによる制御配線の工数測定検証実験結果』としてまとめられている。
さらに営業部門向けに『制御情報システムにおける取引条件作成マニュアル』、新人教育用テキストとして『シーケンス制御
最初の一歩』も作成した。
11.団体名称の変更
また、制御・情報システム部会の発足に関連し、会員の実態に即したより幅の広いサービスの向上を目指し、2007年(平成19年)9月1日、団体名称を現在の「社団法人日本配電制御システム工業会」に変更した。
工業会設立30周年を機に、配電制御システム業界のけん引役として更なる活躍が期待されている。
12.その他の事業
以上のほかに機関誌「JSIA」の発行、会員向けの情報提供として「JSIAニュース」の発行、各種統計調査などを実施している。
また、技術関係の中心的事業として規格類の制定改廃があるが、1993年(平成5年)以降の規格類の一部を紹介してみる。
<1993年(平成5年)以降の出版物の一部>
・1993年(平成5年):配電盤類の電気用図記号と文字記号
・配電盤類に使用する銅ブスバー
・1994年(平成6年):アクリル製機械彫刻銘板の寸法
・1995年(平成7年):PL法対策としてガイドライン
・1996年(平成8年):既設キュービクル式高圧受電設備防水対策に関する研究報告書
・1998年(平成10年):配電盤類及びその取付器具の色彩
・1999年(平成11年):配電盤類の耐震試験実施報告書
・2000年(平成12年):電気設備における高調波抑制対策の手引・基礎篇/技術篇
・高調波流出電流計算ソフト
・キュービクル式高圧受電設備の事故とその対策事例
・2001年(平成13年):配電盤類の耐震設計マニュアル
・キュービクル式高圧受電設備通則
・2008年(平成20年):やさしい国際標準化PLC
・2009年(平成21年):配電盤類の試験・検査
・汎用分電盤
・2010年(平+H98成22年):耐震強度(震度階級と水平震度)
・配電盤類のエコガイドブック
<参考文献>
日本配電制御システム工業会「総会資料」
日本配電盤工業会「JSIAの歩み」
(おわり)